遠藤、取り直し執念1敗キープ「切らさず」7勝!

スポーツ報知
妙義龍(左)を土俵際で投げ、同体で取り直しとなった遠藤(カメラ・豊田 秀一)

◆大相撲名古屋場所8日目 ○遠藤(寄り切り)妙義龍●(15日・ドルフィンズアリーナ)

 前頭6枚目・遠藤が1敗で中日を折り返した。前頭9枚目・妙義龍との取り直しの一番を寄り切りで制した。夏場所で右上腕二頭筋を負傷しながら途中休場から再出場した経験を生かし、自己最多の13勝した16年秋場所以来の速さで勝ち越しに王手をかけた。関脇・御嶽海は初のストレート給金。前頭13枚目・朝乃山も1敗を死守。大関・高安、前頭6枚目・千代大龍、同13枚目・栃煌山が2敗で追う。十両4枚目・安美錦は横綱・大鵬に並ぶ歴代8位の通算872勝。

 荒れた呼吸を静かに整えた。遠藤は取り直しの一番で妙義龍を右手で張ると、瞬時の左差し。差し手争いで優位に立つと、もがく相手の右上手も引いて14秒3で寄り切った。「最後まで気持ちを切らさず相撲を取れたのが良かった。勝ち切れたのが良かった」。歓声に沸く館内にも、表情一つ変えず花道を引き揚げた。

 窮地から生き返った。最初の一番は相手の鋭い出足にズルズルと引き下がり、土俵下へと落下。軍配も妙義龍に上がったが、物言いの末に右足だけで必死に粘った遠藤と同体と見なされて取り直し。挽回のチャンスをもらった。

 雪辱の思いで土俵に上がっている。新小結として臨んだ先場所は「右上腕二頭筋遠位部断裂」で7日目から途中休場。10日目の再出場後は白星なく1場所で三役の座を明け渡した。断裂部位は、右上手を取る際に致命的な右肘付近。部屋関係者によると、負傷当初は右腕に通常の3割程度しか力が入らない状態で、手術すれば完治まで半年、本格的に相撲を取るまで約1年かかる見込みだったという。

 選んだのは手術を回避して患部周辺の筋力アップで調子を取り戻す道。この日の支度部屋では右腕の状態を問われても無言を貫いた。師匠の追手風親方(元幕内・大翔山)は「(10月に28歳となる)1年を棒に振ったらどうなるか。本人は今も(ダンベル運動などで)コツコツと6、7割(の状態)まで戻そうとしている」と、けがを乗り越えようとする弟子の背中を押した。

 4連勝で、無敗の御嶽海を1差で追いかけ中日を終えた。後半戦へ「しっかり準備して集中してやれれば」と最後までクールに対応した。13年秋場所の新入幕から29場所目。3横綱1大関が休場した混迷の名古屋で、初賜杯への期待も高まってきた。(小沼 春彦)

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