朝乃山1敗守った、102年ぶり富山出身Vへ「こんなチャンスめったにない」

スポーツ報知
石浦(左)を押し出しで下した朝乃山(カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲名古屋場所9日目 ○朝乃山(押し出し)石浦●(16日・ドルフィンズアリーナ)

 1敗を守った前頭13枚目・朝乃山に優勝の可能性が出てきた。過去3戦全勝の前頭15枚目・石浦を一方的に押し出して勝ち越し。全勝の関脇・御嶽海をただ一人1差で追う展開で、富山県出身力士では1916年5月場所の横綱・太刀山以来102年ぶりの賜杯が視界に入ってきた。前頭6枚目・遠藤は石川・金沢学院高の後輩、前頭9枚目・豊山に敗れて2敗に後退。大関・高安、前頭13枚目・栃煌山と並んだ。

 朝乃山が中入り後の初口で、館内に熱風を注ぎ込む勝ち越しを決めた。懐に入れると厄介な小兵、石浦を突いて突きまくって、押し出して一蹴。9日目に自己最速の平幕第1号で勝ち越し、V争いにも堂々と名を連ねた。「さらに勢いをつける。優勝を狙うつもりでいく」。野望をさらにたぎらせた。

 3横綱、1大関の休場が相次ぎ、上位陣が星をつぶし合う状況だ。下位の番付の朝乃山と上位陣との対戦は終盤が予想されるため、今が稼ぎ時。横綱白鵬を参考にした左上手からの右四つを武器に快進撃する24歳は「こんなチャンス、めったにない。ものにしたい」と欲が湧き出た。188センチ、165キロのサイズから付いた異名は「富山の人間山脈」。七夕の短冊に書いた「2ケタ白星」を大幅に上方修正した。

 歴史に名を刻む決意でいる。富山県出身力士の優勝となると102年ぶり。名古屋場所での平幕優勝は過去5人いて、うち3人が高砂勢(富士錦、高見山、水戸泉)と、自身もまた“荒れる名古屋”の再現を意識している。高砂部屋にとっても、17年初場所に138年続いた関取が不在になった翌場所に朝乃山が十両に昇進し窮地を救った。「僕が(部屋を)復活させたし、僕が(平幕Vの)歴史を復活させます」。ほえるように言い放った。

 1敗で並んだ遠藤が2敗に後退し標的は無敗の御嶽海に。ともに学生相撲出身だけに「追い抜きたい」と意識した。化粧まわしに富山の出世魚のブリをあしらう。「まだ金魚」と照れ笑いしたが、腹の中ではウォッと言わせる気でいるに違いない。(小河原 俊哉)

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