御嶽海、初優勝…新伝説だ雷電以来長野県勢208年ぶり頂点

2018年7月22日6時0分  スポーツ報知
  • 14日目で初優勝を決めた御嶽海は、ファンの声援にガッツポーズで応える(カメラ・能登谷 博明)
  • 出羽海親方(前列右)らとバンザイする御嶽海(前列中央)

 ◆大相撲名古屋場所14日目(21日・ドルフィンズアリーナ)

 関脇・御嶽海(25)=出羽海=が前頭13枚目・栃煌山(31)=春日野=を寄り切って13勝目。3敗で追う前頭9枚目・豊山(時津風)、同13枚目・朝乃山(高砂)に2差をつけ、千秋楽を待たずに初優勝が決まった。初土俵から21場所での優勝は、1958年の年6場所制以降では3位タイの早さ。3横綱1大関が休場した“荒れた名古屋”を制し、八角理事長(元横綱・北勝海)は秋場所(9月9日初日・両国国技館)の大関取りを明言した。

 少し遅れて熱い思いがこみ上げてきた。花道の奥で付け人と抱き合っても笑顔だった御嶽海が、インタビュールームの中で号泣した。「うれしいです」。最初のひと言の後が続かない。数秒間、沈黙すると右手で顔を覆った。「すごい緊張した。周りの声援を聞いて優勝しなければいけない感じになって…。なんとか勝てました」。初優勝。普段は軽いノリの25歳は涙声で歓喜の言葉を並べた。

 勝てば自力で賜杯獲得が決まる一番。左を差して組み止め、最後は右手で押して前に出た。「稽古場通り。勝つ時はあの形」。同じ出羽海一門の先輩を、深々と腰を落として正面土俵に寄り切った。待っていたのは満員札止めの館内からの盛大な祝福。「見えた景色? 拍手の嵐だった。味わったことがない」。19年ぶりに3横綱全員と1大関が離脱した土俵で主役を演じた。宿舎に戻ると祝いのタイを持ち上げ「稽古不足で重たかった」と自虐ネタで優勝を実感した。

 東洋大卒業後は実業団横綱8人を輩出した和歌山県庁に内定していたが、断りを入れて15年春場所で初土俵。スピード出世を果たしても“稽古嫌い”と番数の少なさなどを指摘された。それでも「多く相撲を取って勝てるなら、やる。でも僕なりのやり方がある」。稽古場以外でも筋力トレーニングに励み体を強化していた。自ら考える流儀と信念を貫いた。

 16年8月、周囲の反対を押し切っての角界入りを後押ししてくれた東洋大の田淵順一常務理事が他界した。「大学4年のときに『先は長くない』と聞いた。三賞は見せられたけど三役昇進は見せられなかった」。病に侵されながらもプロ入りのレールを敷いてくれた恩人に報いるため、9場所連続で三役を務め快挙を達成した。

 15年名古屋場所で新十両となり、全都道府県で最長だった長野県の関取不在を37年で止めた。それから3年後に県勢初の賜杯をたぐり寄せた。3か月前には208年前の江戸時代に優勝した同郷の英雄、雷電の墓参りをした。「名前ぐらいしか知らなかったけど、行って良かったかな」。故郷の伝説に並び、平成最後の名古屋場所で新たな伝説を作った。(網野 大一郎)

 ◆御嶽海の優勝データ

 ▼長野県勢 1909年6月の優勝制度制定後では初。それ以前では1810年10月場所で東御市出身の雷電が優勝相当の成績(7勝1敗1分け1休)で28度目の優勝を果たして以来208年ぶり。

 ▼スピード3位 幕下付け出しデビューから21場所。年6場所制となった1958年以降では輪島(15)、琴光喜(16)に次いで出島(現大鳴戸親方)と並び3番目の早さで初V。

 ▼大卒力士 2001年秋場所の琴光喜以来。東洋大からは初。

 ▼出羽海部屋 80年初場所の横綱・三重ノ海以来38年ぶり。通算50度目で歴代2位。

 ▼平成生まれ 日本出身では初。平成3年生まれでモンゴル出身の照ノ富士が15年夏場所で優勝。

 ▼関脇 15年夏場所の照ノ富士以来26例25人目(朝汐が56年春、57年春と2度優勝)。出羽海部屋からは安芸ノ海、初代増位山、佐田の山、三重ノ海以来5人目。

 ◆雷電 為右衛門(らいでん・ためえもん)日本相撲協会の資料によると1767年、現在の長野県東御市生まれ。幕内在位は36場所で大関は27場所務めた。幕内では254勝10敗。あまりに強かったため張り手などが禁じられたと伝えられている。教養も高く「雷電日記」といわれる巡業を記録した「諸国相撲控帳」を書き残したとされる。197センチ、170キロ。

 ◆御嶽海久司(みたけうみひさし)
 ▼生まれ 1992年12月25日、長野・木曽郡上松(あげまつ)町出身。25歳
 ▼しこ名 長野の名峰・御嶽山(おんたけさん)に由来。14年9月に噴火した影響で観光客が減った地元を「勇気づけたい」。長野県が接していない「海」は出羽海部屋から。本名は大道久司(おおみち・ひさし)
 ▼初土俵&実績 東洋大4年で学生、アマチュアの2大タイトルを獲得。大学時代は合計15冠。15年春場所、幕下10枚目格付け出しで初土俵。同年夏場所後に長野県出身では47年ぶりの新十両に昇進
 ▼好物 すし、プリン。プリンは自分で作るほどで洋菓子派
 ▼趣味 ボウリング、ダーツ、温泉巡り。苦手は絵画で「絵心は全くなし」
 ▼ライバル 東洋大の2学年下で16年リオ五輪競泳男子400メートル個人メドレー金メダルの萩野公介。大学時代から親交があり「負けたくない」
 ▼女性のタイプ 外見は細身のクール系で内面はおっとり系が好き。年上好きで理想は女優の北川景子
 ▼家族 父・春男さん(67)、母・マルガリータさん(48)
 ▼サイズ 180センチ、167キロ
 ▼得意 突き、押し

相撲
今日のスポーツ報知(東京版)
報知ブログ(最新更新分)一覧へ