御嶽海、大関ノルマは綱に勝て!

スポーツ報知
千秋楽で敗れたものの、13勝2敗で優勝を果たし賜杯を贈られる御嶽海(カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲名古屋場所千秋楽 ○豊山(掛け投げ)御嶽海●(22日・ドルフィンズアリーナ)

 14日目に初優勝を決めた関脇・御嶽海は、前頭9枚目・豊山に敗れ13勝にとどまった。秋場所(9月9日初日・両国国技館)で大関取りに挑むが、3場所合計33勝の昇進目安への到達には11勝が必要となり、八角理事長(元横綱・北勝海)は今場所休場した3横綱1大関を倒すことを“厳命”した。三賞は御嶽海が殊勲賞(3度目)、技能賞(2度目)、12勝した豊山(初)と11勝の前頭13枚目・朝乃山(2度目)が敢闘賞を受賞。十両は決定戦を制した貴ノ岩が優勝した。

 15日間を戦い抜いた両腕で、初めての賜杯をしっかりと抱いた。25歳の次期大関候補に向けられた大拍手。3横綱1大関が休場した混迷の名古屋で、主役になった御嶽海が感慨深げに満員の館内を見渡した。「メチャクチャ(賜杯は)重かった。こんなに声援も受けると思っていなかったので、メチャクチャうれしい」。いつもの明るい口調で感謝すると同時に、秋場所への闘志を静かに燃やした。

 千秋楽の豊山戦は出足鋭く2度、土俵際まで攻め込んだが、捨て身の掛け投げに屈した。13勝2敗で終えて、「優勝は関係なく最後は勝ちたかった…」。表彰式前の支度部屋でじっと目は閉じたまま。何度も大きく息を吐き、つぶやいていた。

 その悔しさを糧に、初の大関取りに挑む。昇進目安は「三役で直近3場所33勝」。先場所は小結で9勝しており、現在22勝。9月の数字上のノルマは11勝となる。八角理事長は「大関取りは(相撲)内容も見られる。来場所は横綱、大関も戻ってくる。真価が問われる」と指摘。上位陣の高い壁を乗り越えなければ、次なる歓喜にはたどり着けない。

 初優勝を決めた21日夜には、名古屋市内の焼き鳥店でミニ祝勝会。そこに向かう短時間の車中で眠りに落ちた。「気づいたら爆睡。それぐらい気を張っていたんだな」。友人、知人からの祝福電話やメールは500件を超えた。「俺は1回だけど、横綱とか何回も優勝した人はスゴイと思いましたよ。上を目指してもっと稽古に励んでいきたい」。重圧に打ち勝った真夏の経験が、大関への道しるべになる。(小沼 春彦)

スポーツ

×