埼玉栄の斎藤が雪辱の高校横綱に輝く

スポーツ報知

 全国高校総体の相撲の個人戦が4日に静岡・沼津市内で行われ、昨年3位の斎藤大輔(埼玉・埼玉栄3年)が初優勝を果たした。決勝ではモンゴル出身のチョイジルスレン(神奈川・旭丘)を寄り切りで下して高校横綱に輝いた。

 昨年は準決勝で千葉・日体大柏のビャンバスレン(現豊昇龍)に切り返しで敗れた。「去年に実感した。モンゴルの選手は足を使ってくる」。この日もチョイジルスレンに足を飛ばされたが想定内。7月の世界ジュニア選手権(台北)準決勝でも対戦し、外掛けを仕掛けてきていた戦い方が脳裏に焼き付き、「慣れていた」という。右四つで組み合ったが、最後は相手が巻きかえた瞬間を見逃さずに寄り切った。

 「この日のためにやってきた」と胸を張ったが困難な道のり。2月の弘前大会後に「一安心してしまった」。腰痛も発症するなど苦しんだ。支えになったのは1年先輩で角界入りした三段目・納谷(大嶽)。昭和の大横綱を祖父に持つ先輩と2年間、ともに稽古し、「大きな背中を見てきた。自分の形になること以上に最後は気持ちだと学んだ」と大一番で“教え”を実践した。

 189センチの上背に大会直前に5キロ増えて体重は130キロと恵まれた体格。大関・豪栄道(境川)を含めて5人目の高校横綱を育てた山田道紀監督(52)は、「運動神経が抜群にいい。でもまだ未完成ですよ」と伸びしろ十分を証言する。注目される卒業後の進路は、「大学も含めて色々なところから誘われている。自分の気持ちが固まるまで考える」(斎藤)と現段階では未定だ。

 その上で、「(大相撲は)いつか力が通用すれば試したい」とプロ志向はあるが、その前に実力を試す場が与えられた。高校総体を制したことで大学生、実業団選手と一緒に優勝を争う12月の全日本選手権の出場資格を獲得。「出ればひょっとしたら、3位には…」と山田監督は豪栄道らが達成した高校生最高記録も期待。ベスト8以上なら三段目付け出し資格も得ることができる。高校ナンバーワンの称号を得た男には、楽しみが増えた。

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