数学に打ち込んでいたチョイジルスレンが高校総体相撲個人で準優勝

スポーツ報知

 全国高校総体の相撲個人決勝が4日、静岡・沼津市内で行われた。大会前は“無印”の選手だったモンゴル出身のバトジャルガル・チョイジルスレン(新名学園旭丘3年)が、並み居る強敵を退けて準優勝。決勝では本命視されていた斎藤大輔(埼玉栄3年)に敗れたが、スケール感たっぷりの相撲内容で強烈な印象を残した。

 同校が掲げる「グローバル教育」の一環で約2年半前に来日した。当時の体重は70キロ。岸田光弘監督(45)は、「決して相撲エリートだったわけじゃないんです」と明かす。14歳までは数学の勉強に没頭し、故郷のウブス県の大会で優勝するほどのレベルだった。叔父がモンゴル相撲で小結にあたる地位についたことはあったが、本人はほぼ未経験。15歳でレスリングを始め、同校がウランバートル市内で選考会を開くことを父から知らされ応募。縁あって日本への留学が決まった。

 「この子に合った相撲を教えました。自由に対応できるということですね」。来日時は軽量のため様々な取り口を教わり、身につけた。現在では体重も120キロを超え、四つ身も左右どちらでも対応できる柔軟性が魅力だ。7月に台湾で開催された世界選手権では個人戦でベスト4入りとブレイクの予兆はあった。

 気になる進路は「本当に文武両道を貫く子」(岸田監督)と日本での大学進学を希望しているという。進学先で相撲を続け、「勉強も相撲もいけるところまでいきたい」とチョイジルスレン。14歳まで打ち込んだ数学を再び学ぶことも視野に入れているという。

 準優勝に終わり、昨年のアマルサナーに続くモンゴル出身選手の2連覇はならず。「作戦を立てた相撲をとれなかった。立ち合いから前に押していこうと思ったけど、焦って2本差してしまった」。身長で5センチ大きい189センチの斎藤に胸を合わされて寄り切られた一番を振り返って唇をかみしめた。それでも簡単にダークホースのひと言では片づけられない存在感は、確かにあった。

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