東京地裁が相撲協会の小林元顧問の請求を棄却

スポーツ報知

 日本相撲協会の元顧問の小林慶彦氏(63)が解雇を無効として協会に地位確認を求めた訴訟で、東京地裁は28日、同氏の請求を棄却。裁判費用は小林側が負担するという判決を言い渡した。

 この訴訟は2016年2月に小林氏が「平成27年(2015年)11月15日の理事会決議により事務全般の総括責任者として協会に雇用されたのに、不当に解雇された」と地位確認と未払いの賃金支払いを求めて提起したもの。相撲協会は「雇用した事実はない」と反論していた。

 裁判の争点は「協会と小林氏の間で労働契約は成立していたか」だが、判決では小林氏との労働契約は締結されていないとして請求は棄却された。阿部雅彦裁判長は「平成27年11月15日の理事会において、北の湖前理事長は、小林元顧問の立場について『以前と変わらない』と発言しており、理事会の議論もその前提が不明確で、『小林元顧問を雇用する』との決定がなされたとは認められない」とした。

 さらに「小林元顧問が持つ採用辞令は、小林元顧問か小林元顧問の指示を受けた者によって偽造されたものと推認される」と続けており、東京地裁の判断では小林氏が偽造した文書を根拠に自身の訴えを主張していたことになる。

 相撲協会は同日判決を受けてコメントを発表。「小林元顧問の当協会に対する請求を棄却する内容であり、裁判所は、当協会が元顧問を雇用する必要性がなく、また、小林元顧問が示した採用辞令を偽造であると認定しました。非常に妥当な判決であると考えております」とした上で、「当協会は引き続き、元顧問による多額の裏金の受領などについて別件訴訟で責任を追及していきます」とした。

 相撲協会は小林氏の在任中の背任的行為で損害賠償を求めた訴訟を起こしている。小林元顧問は在任中に協会内の立場を利用して、パチンコメーカーとの契約を巡って仲介業者から裏金計1700万円や、国技館改修工事の受注会社から8000万円を受け取ったことが同協会の調査で判明。昨年12月に小林元顧問と同氏が代表取締役を務めていたコンサルティング会社に計1億6500万円の損害賠償を求めていた。

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