稀勢の里、今場所最長59秒流血戦も盤石の左四つで無敗守った!初日から3横綱4連勝は29年ぶり

スポーツ報知
魁聖(右)の顔面が鼻にめり込んだ稀勢の里は、寄り切りで下し4連勝(カメラ・酒井 悠一)

◆大相撲秋場所4日目 ○稀勢の里(寄り切り)魁聖●(12日・両国国技館)

 8場所連続休場からの復活を目指す横綱・稀勢の里が、前頭筆頭・魁聖との流血の死闘を制して無敗を守った。新横綱優勝した17年春場所以来の4連勝発進で、5日目に横綱審議委員会の本場所総見を迎える。白鵬、鶴竜も勝ち、1989年の春場所以来29年ぶりに3横綱が初日から4連勝。カド番の大関・栃ノ心も流血しながら小結・玉鷲を取り直しの一番で下し1敗を守った。大関取りの関脇・御嶽海ら全勝は7人。

 壮絶な差し手争いに、満員札止めの国技館が熱狂した。58秒8に及んだ今場所最長の“稀勢の里劇場”。土俵中央、左を差して魁聖の右上手を巧みに切ると、上体が浮き上がった隙を見逃さなかった。盤石の左四つ。鼻から流血しても関係ない。最後は両腕に持てる力をすべてつぎ込み、207キロの巨体を寄り切った。

 支度部屋では髪を結う間、「フ~ッ」と何度も息を吐いた。復活への道を切り開く無傷の4連勝に「辛抱して攻めた? うん。まあ、しっかりやれました」。口数は相変わらず少ないものの、初日に見せていた険しい表情が柔和になってきた。

 白鵬、鶴竜も白星を重ね、3横綱が初日から4連勝するのは平成元年の89年春場所以来。ともに11連勝した当時の“主役”である八角理事長(元横綱・北勝海)は「先手を取っているからもっと前に出ないと。馬力がないから苦戦している」と手厳しかったが「勝っているし、だんだん良くなってくる」と今後に期待した。

 場所前の二所ノ関一門の連合稽古に出席した芝田山親方(元横綱・大乃国)は「左を差してから右でおっつける。その体勢が出てくればいいんだ」と、8場所連続休場の後輩横綱へ具体的な助言を贈った。

 進退を懸けた本場所に集中するため、この日の朝稽古も4日連続で非公開。午前8時半過ぎに東京・江戸川区の部屋に無言で入ったが、報道陣のあいさつには舌をペロリと出して、うっすらと笑みも浮かべた。「集中して明日もやっていく」。横審が復調を判断する5日目の土俵にも堂々と上がる。(小沼 春彦)

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