【尾車親方の目】稀勢の里、慣れない立ち合い墓穴

スポーツ報知
玉鷲(右)との対戦で左手と左足が同時に出た稀勢の里

◆大相撲秋場所8日目 ○玉鷲(押し出し)稀勢の里●(16日・両国国技館)

 稀勢の里には不安の残る黒星となった。今場所、初めてと言っていいだろう。普段なら右足で踏み込む立ち合いを見せていたが左足から出た。これは右腕で玉鷲の左腕を抱えて、圧力のある当たりを受け止めようとしたから。慣れない立ち合いで墓穴を掘ったと言えるかもしれない。

 原因は弱気になったからだ。本来なら玉鷲の強い当たりに負けないぐらいの激しい当たりで前に出て、得意の左のおっつけから押し切っていたはず。器用さはないが、このガムシャラな攻めが持ち味で、白鵬らを倒して横綱になった。自分の長所を自分で封印してしまった結果だ。

 このコラムで「負け方も大事」と書いた。この日の負けは後半戦に影を落とすかもしれない。10勝が横綱の勝ち越しだが、8勝でも許してほしいと軌道修正したいぐらいだ。この負けが冷や水になって、目を覚ましてくれたらいいのだが。(スポーツ報知評論家)

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