【尾車親方の目】稀勢の里、持ち味のガムシャラな攻めが戻った

スポーツ報知
栃ノ心(左)を寄り切りで下し2敗を守った稀勢の里(カ メラ・能登谷 博明)

◆大相撲秋場所9日目 ○稀勢の里(寄り切り)栃ノ心●(17日・両国国技館)

 稀勢の里が今場所、初めて自分の相撲を取った。立ち合いは左足から踏み込んだ。前日同様だったが、当たりの強さが違った。栃ノ心の体をはじいて右からおっつけ左四つになった。栃ノ心が苦し紛れの下手投げで自分の体勢を悪くしたのに対し、稀勢の里は休まず攻め続けた。

 攻める姿勢が白星を、連敗阻止になった。右上手を取って左下手は最初、1枚だったが、一度も動きを止めずに休まずに攻め続けた。一瞬でも立ち止まっていたら違った展開になっていたはず。ガムシャラに攻め続ければ、欠点である腰高も気にならない。不器用だが、ガムシャラな攻めが持ち味。前日の負けを修正した結果だ。

 8場所連続休場でスタミナに不安があるのは事実。栃ノ心を寄り切った瞬間、稀勢の里も一緒に土俵下に倒れ込んだ。覚悟を決めた場所で精魂尽き果てた一番でもあった。(スポーツ報知評論家)

スポーツ

×