貴乃花親方が気迫の相撲で連敗を回避した稀勢の里を「お客さんの胸を打つ」と称賛

スポーツ報知
栃ノ心を寄り切りで下した稀勢の里(右)を審判として見届けた貴乃花親方

 大相撲秋場所で進退をかけて4場所ぶりに出場した横綱・稀勢の里(32)=田子ノ浦=の奮闘に、2002年の同じ秋場所で横綱として復活を果たした貴乃花親方(46)=貴乃花=が賛辞を贈った。

 3連敗中だった大関・栃ノ心(春日野)を得意の左四つからの寄り切りでねじ伏せて7勝目。9場所ぶりの勝ち越しに王手をかけた以上に、負ければ今場所初の連敗で引退危機につながっていただけに大きな白星となった。必死さがにじみ出る土俵を先輩日本人横綱でもある貴乃花親方は土俵下で審判として見届け、帰り際に報道陣に思いを明かした。

 「緊張感がありました。相撲内容も良かったです。稀勢の里は気迫がありました。非常に見ていて頼もしいです。今場所一番の気迫で緊張感がほぐれてきた。もともと実力者、緊迫感を取り除いて土俵に上がれば、緊張から気迫に変えて本来の力を出す。今日はそんな一番でした」

 率直な感想を言葉にした姿には16年前の自分と稀勢の里を重ねているようだ。「後半戦のほうが失礼な言い方かもしれませんが、相手にとって不足ないと言いますか、(力が)拮抗していますから。(自分の02年秋場所も)横綱、大関の方がやりやすかった」。

 こう当時を振り返ると同時に、例え万全ではなくても、“横綱の責任”を果たそうとする懸命な姿には、「やるしかないという気持ちに(緊張から)変わっているんでしょう。緊張している場合じゃない、負けられないという表情をしていましたね。館内中が声援で、悲鳴に似た声援がすごかった。苦境を乗り越えようとしている姿がお客さんの胸を打つんでしょうね」と絶賛した。

 また貴乃花親方と同じく土俵下で奮闘を見届けた横綱・白鵬(宮城野)は、「執念(の相撲)でした。横綱でもプロスポーツ(選手として)勝たないとね」と白星という結果を出したライバルを認めていた。

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