怪力大関・栃ノ心 横綱を2度つり上げてカド番脱出王手!

スポーツ報知
鶴竜(左)を抱え上げる栃ノ心

◆大相撲秋場所11日目(19日・両国国技館)

 西大関・栃ノ心(30)=春日野=は東横綱・鶴竜(33)=井筒=を寄り切りで下し、7勝目。カド番脱出に王手をかけた。大関の地位をかけた場所での大一番。「攻めるしかないでしょ」の意気そのままに、横綱に今場所初めて土をつけた。

 立ち合い。鶴竜がもろ手差しで万全の態勢をとった。対する外四つ。両腕にグッと力を込めると、中央で一気につり上げた。土俵際へ追い込み、もう一度。横綱の両足が2度宙に浮き、最後は寄り切って、鶴竜の左足が土俵を割った。高々と持ち上げられた横綱は「あのところからつられるとは思わなかった」。八角理事長(元横綱・北勝海)も「外四つでつるか! 気迫だよね。」と絶賛した。

 名古屋場所6日目に右母趾(ぼし)MP関節側副靱帯(じんたい)を損傷。新大関として臨んだ場所で、8日目から8日間の休場を余儀なくされた。負け越しの許されないカド番大関として迎える今場所に向け、体を動かし始めたのは8月中旬。夏巡業前の栃木での合宿では、温泉プールで治療とトレーニング、両方を兼ね調整してきた。

 あと一つで、大きな壁を乗り越える。この日の朝稽古後、勝ち越しへの意識についての厳しさを語りながらも「勝てるやろ! あと2つ」と前を向いていた。プレッシャーに打ち勝ち、横綱を破った大関は「あと一つ。もういっちょ、もういっちょ」。自分に言い聞かせるように、支度部屋でつぶやいた。目の前の白星を、次も必ずとる。

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