稀勢の里3敗も元横綱・日馬富士がエール「勇気と感動を与えてほしい」

スポーツ報知
稀勢の里(左)は逸ノ城に押し出しで敗れ3敗目を喫した(カメラ・森田 俊弥)

◆大相撲秋場所11日目 ○逸ノ城(押し出し)稀勢の里●(19日・両国国技館)

 8場所連続休場からの復活を目指す横綱・稀勢の里は関脇・逸ノ城に押し出されて3敗目を喫した。前日に9場所ぶりの勝ち越しを決めながら足踏みに、この日、都内で会見した元横綱・日馬富士のダワーニャム・ビャンバドルジ氏(34)から千秋楽までの奮闘を期待された。横綱・白鵬は大関・高安を撃破。横綱・鶴竜が1敗に後退したため単独トップに立った。白鵬の秋場所での単独首位は4年ぶり。カド番の大関・栃ノ心は7勝目。11勝で大関昇進が濃厚だった関脇・御嶽海は5敗目。

 進退場所の10日目勝ち越しで安心したのか、稀勢の里の立ち合いに覇気はなかった。関取最重量227キロの逸ノ城に圧力負け。3度の突き押しに上体を起こされ、なすすべがなかった。不満げに2度、首をかしげた。負け残りの土俵下では歯を食いしばって悔しさを押し殺し、大きく息も吐いた。

 横綱審議委員会が進退問題をクリアする条件として“提示”する10勝を前に足踏み。風呂上がりの支度部屋では無言を貫いた。防戦一方に、八角理事長(元横綱・北勝海)は「立ち合いの失敗。当たりが弱かった。まわしを取り合うイメージだったのか、ふがいないと思っているに違いない」と残念がった。

 勝てば幕内通算白星で日馬富士(712勝)を抜いて、歴代単独6位に浮上していたが、それも持ち越し。今後、2横綱1大関戦を残す。険しい終盤戦が続く中、勝利記録で並ぶ、その元横綱から“力水”をもらった。この日、都内の画廊で自身の絵画展の会見に出席したビャンバドルジ氏は「(現役の時は)勝つのが大事だったけど引退してからは応援している。ずっと続けてほしいし、勇気と感動を与えてほしいと心から願っています」と復活への熱い思いを込めた。

 2人は04年九州場所で同時入幕。17年春場所13日目の対戦で稀勢の里が左大胸筋などを負傷し、現在の進退問題に発展する8場所連続休場の原因にもなった。因縁の相手ではあるが、取組直後には「稀勢の里は大丈夫か?」と真っ先に心配の声を上げていた。元々は、お互いが関取になってからも一緒に銀座で飲み歩くなど尊敬し合う仲。かつてのライバルから届けられた熱烈エールを、再起への糧にし、絶対に下は向かない。(小沼 春彦)

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