金足農の後輩から刺激を受けて豪風が6勝目で五分の星に戻す

スポーツ報知

◆大相撲秋場所 12日目(20日、東京・両国国技館)

 西十両6枚目・豪風(39)=尾車=が、東十両筆頭・荒鷲(峰崎)を押し倒して6勝目を挙げ、星を五分に戻した。

 立ち合いで鋭く踏み込み先手をとると、最後は左腕を伸ばしきって体を預けて押し倒した。「目いっぱいいこうと思った。全力です。受ける相撲じゃないですから自分は」と気持ちでつかんだ白星を強調した。

 強い気持ち、の根拠は夏の甲子園で全国準優勝した母校・金足農野球部の奮闘劇だ。「後輩たちは9回裏どころか、校歌を歌うまで全力でぶつかった。輝いて見えました。後輩でありながら勉強になり、刺激にもなった。まだ12日目、野球で言えば7回くらいでしょ」と熱弁。土俵入りの化粧まわしは当然、金足農から贈られたもの。さらに金足農(カナアシノウ)ではなく、「カナノウですから」と愛称を浸透させるほど、強い母校愛が39歳を支えている。

 この日の勝利は中大の後輩の援護射撃にもなった。同部屋の西十両2枚目・矢後は4敗を守って勝ち越し。4敗だった荒鷲を豪風が破ったことで弟弟子の優勝争いを助けることになった。「え? そうなんですか。全く意識していなかった」というが、取組後に支度部屋の風呂場で、「通過点だろう。俺たちが求めているのはこんなところ(で満足)じゃないよ」と喝を入れたという。

 取組前には力水を後輩からつけられたが、「目の前の一番に集中しました」。それでも互いの思いは無言でつながっていたはずだ。

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