藤田紀子さん、引退届提出の貴乃花親方にエール「素晴らしい第2の人生を送ってほしい」

スポーツ報知
92年秋場所の優勝を祝う(左から)母・憲子さん、貴花田、父・藤島親方=呼称は当時

 日本相撲協会に引退届を提出した元横綱の貴乃花親方(46)の実の母であり、おかみさんとして育てたタレント・藤田紀子さん(71)が25日、スポーツ報知の取材に応じた。「最後まで真実一路を貫きたかったのだと思います」とし、「素晴らしい第2の人生を送ってほしい」とエールを送った。(甲斐 毅彦)

 貴乃花の突然の引退届提出にも紀子さんは、全く驚かなかった。夕方5時から始まった記者会見も穏やかな気持ちで見守った。

 「25日は大安だったので、朝から『今日辞めるかな』という予感がしていました。そして『貴乃花部屋の力士たちが皆、無事に千賀ノ浦部屋へ行きますように』とお祈りをしていました。勘が働いたんですね」と振り返った。

 引退届提出に至る経緯は、会見を見て初めて知った部分もあった。だがいずれ協会を去る決断をすることは確信していた。

 「私は息子の性格をよく分かってますから。あのまま協会に残っていても何もできない。一代年寄の看板が傷ついてしまう。土俵一筋で大変な努力をしてきたのに。これ以上協会に残って波風を立ててもどうにもならない。弟子たちにも迷惑がかかってしまう。貴乃花は、小さい時からウソのない人生でした。最後まで真実一路を貫きたかったのだと思います」

 秋場所中は小結・貴景勝、幕内・貴ノ岩ら貴乃花部屋の力士たちを応援していたという。息子の弟子たちが移籍する千賀ノ浦部屋の千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)は、自身がおかみさんとして切り盛りしていた藤島部屋の時代から信頼を寄せる人物だ。

 「会見で(貴乃花は)土俵で今後も指導する、と言っていましたが、最初に預かった弟子だから『親代わりとして』という気持ちでしょう。親方を押しのけてまではしないと思う。千賀ノ浦親方は、人間的にもお任せして大丈夫な方だと思います」と太鼓判を押した。

 今後の貴乃花が歩む人生は紀子さんにも、全く分からない。だが涙を見せぬ会見での表情から前向きな気持ちを感じ取っていた。「15歳の時に入門してから31年間、相撲だけの人生でした。やっと一般の社会人としての人生を歩める。素晴らしいことが学べると思う。若すぎでもないし、お年寄りではない。新たな人生を歩むのならば今ですよ」とエールを送った。

 ◆藤田 紀子(ふじた・のりこ)本名・藤田憲子。1947年9月7日、大分県大分市生まれ。71歳。松竹で女優として活躍し、70年に貴ノ花(元大関、二子山親方、故人)と結婚。長男の元横綱・若乃花(花田虎上)と次男の貴乃花を生み、2人の入門後はおかみさんとして育て「若貴ブーム」を支えた。2001年に離婚後に芸能活動を再開。

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