貴乃花親方に手を差し伸べる一門あった

スポーツ報知
貴乃花親方は急きょ開いた会見で、日本相撲協会への不信をあらわにした(カメラ・竜田 卓)

 大相撲の貴乃花親方(46)=元横綱=が25日、都内で会見を開き、日本相撲協会に「引退届」を提出したことを明らかにした。今年3月に内閣府に提出した協会への告発状の内容を事実無根と認めなければ一門に所属できず、親方を辞めなければならないと“通達”されたが、「真実を曲げられない」として引退を決意したという。8人の弟子らの千賀ノ浦部屋への転籍願も提出した上で、30年以上身を置いてきた角界を去る苦渋の決断を下した。一方、同協会側は提出されたのが引退届で、親方が辞める際に必要な退職届ではなかったため、受理していないことを明らかにした。

 貴乃花親方は、一門への所属について「告発状の内容を事実無根だと認めるようにと言われたので、どこにも入れていただくことはできない」と強硬姿勢を崩さなかった。だが5つの一門の中には、貴乃花親方に手を差し伸べる動きがあった。

 2010年まで所属した二所ノ関一門は、親方が事実無根と認めるか否かにかかわらず「もし申し出があれば受け入れは検討した」と用意があったという。最大派閥の出羽海一門も同様で“軟着陸”を模索していた。

 具体的な動きを見せたのは伊勢ケ浜一門だ。貴乃花親方は、一門加入の誘いに関し具体名を明かさず「いただいていた」としたが、これは伊勢ケ浜一門。貴ノ岩への暴行で引退した元横綱・日馬富士関の師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)が所属する因縁があるが、「受け入れてもいい」(伊勢ケ浜親方)と交渉が水面下で進んでいた。しかし、一部の年配親方から反対が出たため加入が凍結。27日の夜に親方衆の会合が予定されており、議論を重ねるはずだった。

 ◆一門とは 相撲部屋の系統で分かれた、派閥に近い組織で現在は5つ(出羽海、二所ノ関、高砂、時津風、伊勢ケ浜)。冠婚葬祭で協力し、輩出する理事の人数で協会内での発言力にも影響する。昔は一門ごとに巡業を行い収益を分配するなど、固い結束があり、「家族」と呼ぶ親方もいる。協会からは一門へ助成金が支給されるが、無所属の場合は支給されない。横綱土俵入りで太刀持ち、露払いは同じ一門の幕内力士が務めることが慣例。

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