貴乃花親方に同情余地も引退理由に疑問残る…担当記者の目

スポーツ報知
引退会見する貴乃花親方

 貴乃花親方は日本相撲協会の「包囲網」で孤立を深めた末に今回の決断に至った印象を受ける。親方の一門所属を義務づける7月の決定は公表されず、各一門代表の理事から親方衆に通達されただけだった。無所属の貴乃花親方が決定を知ったのは9月の秋場所の序盤だという。無所属のままなら部屋閉鎖などとする案も取り沙汰されており、協会が条件をつけて貴乃花親方の「追放」を図ったようにも映る。十分に同情できる。

 一方、貴乃花親方は告発内容を否定しなければ本当に親方を辞めなければいけないのか、道は残されていないのか、八角理事長ら協会幹部に直接、問うこともできたはず。弟子の転籍申し出も、「引退届」を提出したこの日に、初めて先方に伝えたという。師匠の責任としては、まずは弟子の受け入れ先を決めるべきだろう。落選覚悟で出馬した2月の理事選の時は協会と戦う姿勢が世間の共感を呼んだが、今回は弱腰に思える。幕引きを急ぐような行動には、会見で主張した引退理由も含めて、疑問は残った。(相撲担当キャップ・網野 大一郎)

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