貴乃花部屋力士の転籍問題“仕切り直し” 千賀ノ浦親方受け入れも 相撲協会は審議見送り

スポーツ報知
外出先から部屋に戻った貴乃花親方(カメラ・橋口 真)

 日本相撲協会に退職の意向を伝えた貴乃花親方(46)=元横綱=の弟子8人らの千賀ノ浦部屋への転籍が“仕切り直し”となった。突然の退職表明から一夜明けた26日、千賀ノ浦親方(57)=元小結・隆三杉=が都内の貴乃花部屋を訪れ押印を含めた転籍の書面作成を進めた。だが、相撲協会は師匠同士の話し合いが不十分として、27日の理事会での転籍審議を見送り、10月1日の臨時理事会で改めて審議することを決定した。

 貴乃花親方の退職を受けて周囲が慌ただしく動いた。突然の引退会見から一夜明け、力士らの受け入れを要請された千賀ノ浦親方は午前に取材に応じ、「突然で戸惑っている」と自らの弟子たちと深夜まで話し合った。その上で「受ける気持ちもある」と明かし、午後には貴乃花部屋に向かった。

 午後2時40分に部屋に入ってから約20分後、貴乃花親方の代理人弁護士も来訪。「千賀ノ浦親方がまさに主人公の手続き。まずはこの書類を届けて親方に改めてお話しさせていただいた」(代理人)。貴乃花親方も含めた3人で協会規則の説明をし、千賀ノ浦親方の署名を得たという。

 25日は書式の違いから「引退届」ではなく「退職届」が必要と協会が受理しなかった。貴乃花親方側が27日に協会事務局に持参するのは条件を満たした転籍願の書類と「退職届」。関係者によると、10月3日の秋巡業初日までに両方の部屋では転籍を完結させたい意向があるという。

 27日の理事会で臨時議題として審議されれば転籍は了承される可能性があるが、協会側は“仕切り直し”の形をとった。この日夕方に発表した文書で、「師匠同士の話し合いが十分になされたとは言えない状態で、所属変更願い(転籍届)」と27日は審議せず、結論は10月1日に延期した。

 受理を急ぐ貴乃花サイドに対し協会側は慎重な姿勢を貫いた。背景には各部屋に独自のルールなどがあり、納得した上でなければ遺恨を残す危険性があるからだ。千賀ノ浦親方もその必要性を理解。「(弟子の意見は)様々。今まで一緒でない力士と一緒になる」と難色を示した弟子のフォローを実感したという。

 この日、貴乃花親方は両国国技館で行われた大相撲九州場所(11月11日初日・福岡国際センター)の番付編成会議は出席する必要があったが、欠席した。27日の年寄総会にも「引退ですという気持ちなので」(代理人)と欠席の意向だ。結果として師匠としての責任を果たす弟子の転籍が終わるまで貴乃花親方の退職は先延ばしになった。

 〇…千賀ノ浦親方は、貴乃花部屋力士の転籍が正式に決まった場合も、しこ名は変えない意向を示した。同部屋には秋場所9勝を挙げた小結・貴景勝、同10勝の幕内・貴ノ岩、十両・貴源治の関取衆を含めて8人が在籍。この日午後に貴乃花部屋を訪問する前に「(しこ名は)変えません。関取衆もいる。そのまま残していきます」と話した。

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