竜電、関取として初の甲府巡業で凱旋 横綱・鶴竜と志願の稽古で感じた心意気

スポーツ報知
鶴竜(右)とのぶつかり稽古で苦悶の表情を見せる竜電

 大相撲の秋巡業が10日、2年ぶりに甲府市のアイメッセ山梨で開かれた。同市出身の東前頭13枚目・竜電(27)にとっては幕内昇進後初の地元巡業。ぶつかり稽古では志願して横綱・鶴竜の胸を借りるなどした竜電の気概を、元大相撲担当の三須慶太記者が「見た」。

 甲府巡業で一番の歓声を浴びたのは横綱や大関ではなく、竜電と言っても過言ではなかっただろう。人気者の遠藤との取組では「竜電」と書かれた紙を来場者が一斉に掲げるなど、大いに盛り上がった。「関取として初の地元。声を掛けられることが多くなり、うれしい」と感謝した。

 期待に応えようとする心意気が、稽古に表れた。ぶつかり稽古では鶴竜から約5分間の“かわいがり”を受けた。砂まみれになり、息も絶え絶えになるほど。竜電は「前々からお願いしていた」と志願の稽古だったことを明かした。「正直しんどかった」としつつも、「胸を出してもらって本当にありがたかった」と充実の表情だった。

 この意識は大変、素晴らしいと思う。9月の秋場所では10勝5敗。九州場所(11月11日初日・福岡国際センター)では幕内上位への進出も十分に考えられる。番付によっては横綱、大関陣との対戦の可能性もある。

 小さな体ながら31回もの優勝を重ねた元横綱・千代の富士の先代・九重親方(故人)は生前に「強くなりたいのなら、自分より強い人と稽古するのが一番」とよく口にしていたことを思い出す。今巡業を“実りの秋”にして、1年納めの場所での大暴れを期待したい。

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