【尾車親方の目】気持ちが弱い 気持ちで負けた

スポーツ報知
妙義龍(右)に寄り倒しで敗れた稀勢の里

◆大相撲九州場所 2日目 ○妙義龍(寄り倒し)稀勢の里●(12日・福岡国際センター)

 意識の“偏り”が稀勢の里の動きを鈍くしてしまった。「連敗はしたくない」という気持ちが強すぎて生命線の左に頼り過ぎてしまった。左を差したいという意識が弱い立ち合いを生み、上から左を強引に差し込もうとして腰まで高くした。もろ差しを許した後は腰を振り、小手投げ、突き落としで逃げようとしたが、逆に体勢を悪くして、最後はバランスまで崩した。

 場所前は境川部屋に出稽古に行って妙義龍と胸を合わせたという。その時の感触、経験は必ず体の中に残っていて、反省材料として生きるはずだった。それが、勝ちたいという気持ちが強すぎて勝つための動きを忘れてしまった。

 横綱に対して失礼かもしれないが、気持ちが弱い、気持ちで負けたという印象だ。黒星発進となった初日のコラムでは「心が折れなければ大丈夫」と書いたが、「心が折れそうな黒星」になるかもしれない。(スポーツ報知評論家)

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