【尾車親方の目】死に物狂いで稽古しただろうか?

スポーツ報知
休場を決め、部屋の前で囲み取材を受ける稀勢の里

 稀勢の里にとっては次の場所が最後のチャンスとなる。ならば覚悟を決めるしかない。場所前には出稽古で妙義龍や北勝富士らと胸を合わせた。はっきり言ってこの2力士はやりやすい相手。報道陣に負ける姿を見せたくないために選んだ相手でもあった。

 次の場所に向けては、稽古を非公開にするのもいいだろう。そしてやりにくい相手と胸を合わせることだ。現状は崖っぷち。後ろは荒れ果てた海。落ちるも地獄、はい上がるも地獄。覚悟を決めて苦境を抜け出すしかない。二所ノ関一門が総出で環境を整えることも考えている。

 私も膝のけがで苦しんだ。その時、私の背中を押してくれたのは家族であり、ファンの笑顔だった。場所前の稽古、稀勢の里は家族やファンのために死に物狂いで稽古しただろうか。違う。甘さがあったから、こういう結果になった。最後のチャンス、残された道は一本しかない。(スポーツ報知評論家)

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