22歳の貴景勝が初優勝 部屋転籍後、最初の場所で9例目の小結V

スポーツ報知
錦木(左)をはたき込みで下した貴景勝

◆大相撲九州場所 千秋楽(25日・福岡国際センター)

 小結・貴景勝(22)=千賀ノ浦=が初優勝を飾った。東前頭3枚目・錦木(28)=伊勢ノ海=をはたき込みで破り2敗を守った一方、西大関・高安(28)=田子ノ浦=は東関脇・御嶽海(25)=出羽海=にすくい投げで敗れ3敗目を喫した。

 22歳3か月は年6場所制となった1958年以降6位のスピード、初土俵からの所要26場所は曙に並ぶ4位タイで小結での幕内Vは9例目と記録づくし優勝。3横綱1大関が休場した九州場所で22歳の若武者が躍動し、2018年の大相撲を締めた。

 秋場所後の9月末、師匠で元横綱の貴乃花親方(花田光司氏)が、弟子の貴ノ岩へ暴行をめぐり日本相撲協会の調査が公正中立ではないとして退職し、貴乃花部屋が消滅した。これにより、貴景勝を含め力士らは元貴乃花親方の兄弟子に当たる元小結・隆三杉が率いる千賀ノ浦部屋に転籍した。ざわつく周囲をよそに、冷静な22歳は「影響はない。始まったら自分の相撲をことを考えることで精いっぱい。現役力士は相撲で頑張るしかない。本場所で頑張るしかない」ときっぱり。毎日20種類以上のサプリメントを口にするなど体調管理にも手を抜かず、有言実行で賜杯をたぐり寄せた。

 今場所は得意の突き押しが力強さを増し、初日に横綱・稀勢の里(田子ノ浦)を撃破して勢いに乗った。特に左から繰り出されるボクシングのフックのような強烈でタイミング抜群の突き落としやはたき込みは猛威を振るった。相手のまわしを取らせず、差させない相撲は幕内・千代大龍が「相撲の天才」とうなるほどだった。

 来年1月の初場所は、当面の目標としていた新関脇昇進が確実。小結だった秋場所は9勝を挙げており、今場所の成績も加味すると大関取りの場所になる可能性もある。真っ向勝負を信条とし、22歳とは思えない落ち着きを持つ貴景勝。3横綱1大関が休場した1年最後の九州場所で主役となり、国技に新しい風を吹き込んだ。

 ◇貴景勝 光信(たかけいしょう・みつのぶ)本名・佐藤貴信。1996年8月5日、兵庫・芦屋市出身。22歳。千賀ノ浦部屋。貴乃花部屋に入門し、14年秋場所で初土俵。16年春場所後に新十両。17年初場所で新入幕。同年春場所で敢闘賞を受賞した。今年初場所で初三役となる小結に昇進。三賞は殊勲賞2回。金星は3個。本名の貴信は師匠の貴乃花親方(元横綱)と織田信長から1字ずつ取ったもの。しこ名は前師匠が好きな戦国武将の上杉景勝が由来。中学時代、稽古相手がおらず、宇良のいた関学大に出稽古したこともある。ライバルは阿武咲。中学3年生時の11年の全国中学校相撲選手権決勝で対戦。貴景勝が勝利し中学生横綱に輝いた。175センチ、170キロ。得意は突き、押し。

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