阿武咲“稀勢の里魂”で5連勝!「大好きな方」かわいがってもらった恩は結果で返す

スポーツ報知
阿武咲(右)が嘉風を突き出しで破る(カメラ・森田 俊弥)

 昨年の九州場所で11勝し、敢闘賞を獲得した阿武咲が、新入幕から自身2度目となる初日から5連勝を飾った。尊敬する元横綱・稀勢の里関の荒磯親方が引退したことを受けて熱い思いを吐露。恩返しを誓った。同じく初日から5連勝は白鵬、御嶽海、魁聖の4人。番付上位陣がふるわない初場所で若手が躍動している。

 たぎる熱い思いを胸に、阿武咲が初日から5連勝を飾った。立ち合いから目にもとまらぬ突きの応酬で、一気に嘉風を突き出した。「しっかり足を(前に)出すことができた。思い通りにできた」と、息を切らしながら納得の表情を見せた。17年夏場所の新入幕以来、2度目の初日から5連勝。昨年の九州場所で11勝を挙げて3度目の敢闘賞に輝いた22歳が、勢いそのままに序盤戦全勝スタートした。

 覚醒の理由は、16日に現役を引退した元稀勢の里関だ。取組後、荒磯親方に話が及ぶと口調が一気に熱を帯びた。「(引退は)あまり実感がない。小さい頃から見てきた方。いろいろ面倒を見てくれたし、大好きな方でした」。絶対に諦めない姿勢で相撲道を進んできた元横綱。「ボロボロになりながら稽古をしてて、そこが大事だということを学んだ」と感謝した。

 前相撲の初土俵から2年で関取になったが、16年春場所で負け越し、一度幕下に落ちた。すると、当時大関だった二所ノ関一門の先輩が手を差し伸べてくれた。「自分を引き上げようと、当時の大関(元稀勢の里関)が稽古をつけてくれた。ありえないじゃないですか。大関のプライドがある中でもカッコつけない」。16年夏場所で全勝して関取に復帰。新入幕の17年夏場所からは3場所連続で10勝して同年九州場所では新三役まで上り詰めた。

 元横綱との対戦は17年九州場所で1度だけあり、負けた。「勝ちたかったけどね」と、直接の恩返しはかなわなかったが、あとは結果で返す。「いい相撲だと言ってもらえるように、かわいがってよかったなと言われる力士になれるように、横綱に届く相撲を取りたい」。憧れ、尊敬する大先輩の背中を、これからも追い続ける。(大谷 翔太)

 ◆阿武咲 奎也(おうのしょう・ふみや)1996年7月4日、青森・中泊町生まれ。22歳。保育園の時に相撲大会に出場し、1年生の部で優勝。以来各学年で優勝した。初土俵は2013年初場所。17年夏場所の新入幕から史上初めて3場所連続で10勝した。最高位は西小結。177センチ、160キロ。得意は突き、押し。

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