【尾車親方の目】貴景勝「当たって突き放す」確立

スポーツ報知
貴景勝(右)が押し出しで阿武咲を下す

◆大相撲初場所 8日目 ○貴景勝(押し出し)阿武咲●(20日・両国国技館)

 貴景勝と阿武咲、若手2人の立ち合いは当たり、低さとも五分。明暗を分けたのは貴景勝の“二の矢”だった。当たった後に短い太い腕で突き放して有利な体勢をつくり、阿武咲の上体を起こした。さらに突き放して頭で当たり、左からの突き落としで崩して押し出した。4秒4の短い相撲でも内容は濃かった。

 現状は、貴景勝の方が力が上といえる。先場所の優勝で自信もつけたし、貫禄も出てきた。当たってからの突き放しという相撲を確立している。横の動きで相手を崩す技術もある。

 一方の阿武咲は、まわしを取ったり差したりする面がある。貴景勝のように横の動きが少なく、直線的に引いてしまうケースが多い。あの体形だったらやはり押し相撲に徹するべきだと思う。この日の悔しさをバネに押す力をさらにつければ、この2人は必ず新時代の名勝負を演じてくれる。(スポーツ報知評論家)

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