【尾車親方の目】豪風、前へ出る相撲は両親への感謝と恩返し

スポーツ報知
昨年12月、豪風(右)は尾車部屋前で新入幕を果たした中大の後輩・矢後を祝福

◆大相撲初場所 10日目(22日・両国国技館)

 日本相撲協会は22日、理事会を開き、元関脇の東十両12枚目・豪風(39)=尾車=の現役引退と年寄「押尾川」襲名を承認した。

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 豪風に「プロに入ったら何をしたい」と聞いた。すると「親孝行がしたいです」と答えた。豪風は特待生で中大に入ったのではなかった。両親の「特待生になったら自由に進路などを選べなくなる」との判断だった。共稼ぎの両親のことをいつも気にかけていた。前に出るいちずな相撲は両親への感謝と恩返しでもあった。

 努力家だった。横綱・白鵬に負けないぐらいの準備運動を行って土俵に上がった。トレーニングジムで体を鍛えることも忘れなかった。部屋にいる時はもちろん、巡業先でも食事や風呂の後、トレーニングジムを自分で探して通っていた。だから39歳、関取在位98場所の立派な数字を残すことができたのだろう。

 私の58場所を抜いた時には「師匠を超えましたよ」と言ってきたので、私も「オレには大関在位22場所がある」と言い返し、2人で大笑いしたことがある。すべてがいい思い出。お疲れ様という言葉しかない。(スポーツ報知評論家)

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