元貴ノ岩関の断髪式で“和解”元日馬富士「頑張ってください」…元師匠は現れず

スポーツ報知
元幕内・貴ノ岩関(手前)の断髪式でハサミを入れ肩をたたいてねぎらう元横綱・日馬富士関(カメラ・相川 和寛)

 大相撲の冬巡業中に付け人を殴打して現役を引退したモンゴル出身の元幕内・貴ノ岩関(28)の断髪式が2日、東京・両国国技館で行われた。一昨年10月に鳥取市内で元貴ノ岩関を暴行して引退した元横綱・日馬富士関ら約370人も出席。当時は加害者、被害者としてお互いに角界を揺るがせたが、わだかまりなく土俵上で言葉も交わし“和解”を強調した。元貴ノ岩関は今後は未定としつつ、相撲関係の仕事を希望。前師匠・元貴乃花親方(元横綱)の花田光司氏は断髪式に姿を現さなかった。

 一片のわだかまりもない。元貴ノ岩関の待つ国技館土俵に、元日馬富士関が歩み寄った。両肩にそっと手を添えると「頑張ってください」と優しく声を掛けた。約370人がハサミを入れた断髪式。最後は師匠・千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)の止めばさみで大銀杏(おおいちょう)を切り落とし、「支えてくれた方に感謝したい。これからも一生懸命に精進したい」と力士人生にケジメをつけた。

 「激動の1年」に本当の終止符を打った。もともとは2017年10月、鳥取市内の酒席で元日馬富士関から暴行を受けた被害者だった。昨年10月には元日馬富士関に対して約2400万円の損害賠償を求める民事訴訟(のちに取り下げ)も起こした。だが、同12月の冬巡業中に付け人を殴打したことで一転、加害者としての責任を取って引退を決めた。

 疎遠になっていた両者が急速に近づいたのは今年1月。関係者によると、元貴ノ岩関が何度も元日馬富士関との面会を求めたという。都内で会う機会を得ると、お互いの理解は深まり今回の出席が実現。現役の白鵬、鶴竜も出席したことで同郷3横綱がそろい「うれしかった」と喜んだ。元日馬富士関も「自分なりに応援したい」とエールを送った。

 涙はなし。断髪式を終えるとツーブロック風の短髪に。ピンク色のワイシャツに紫ネクタイを締めた。元付け人・貴大将が用意した黒系スーツに袖を通し、パーティー会場へと向かった。今後は未定としたが、「機会があれば」と相撲に関わる活動を熱望。当面は日本に滞在も、将来的にはモンゴルと行き来するプランを温めているという。

スポーツ

×