福島市出身の若元春が関取初白星 3月11日を思い「前に前に進んでいかないと」

スポーツ報知
土俵際で踏ん張る若元春(右は安美錦)

◆大相撲春場所2日目(11日・エディオンアリーナ大阪)

 今場所を新十両で迎えた福島・福島市出身の西十両10枚目・若元春(25)=荒汐=が、西十両11枚目・安美錦(40)=伊勢ケ浜=を寄り倒しで下し、関取初白星を挙げた。立ち会いから押され土俵際も、左差しから寄り倒して逆転。「純粋にうれしいですね」と、頬を緩ませた。

 3月11日は、2011年に東日本大震災が起きた日。福島市出身の若元春にとって特別な日ではあるが、素直な胸の内を語った。「あまり日付で結びつけたくない。3月11日の震災のことは忘れないように胸の中にとどめているけど、その日だけじゃない。その日だけを考えたら止まっちゃうから。前に前に進んで行かないと…。相撲も一緒。被災した人たちの気持ちも、僕の努力で先へ行けたらいいと思っている」。

 自身は学法福島高の2年時、授業中に弟の十両5枚目・若隆景(24)=荒汐=と被災した。当時は春休み前だったが、その日から休校に。東京電力福島第1原発の事故による放射能漏れを心配した両親は、兄の若隆元(27)=荒汐=が所属していた荒汐部屋に避難させた。「向こう(福島)に残っている友達とかもいたので心配でした」と、当時を振り返っている。その縁もあり、荒汐部屋に入門。7年かけて、関取に昇りつめた。

 8年前に地震が発生した14時46分は、取組前だった。待機していた西の花道で静かに黙とうした。関取初白星を飾ると、弟の若隆景も続き、2人で勝利を挙げた。地元で行われた十両昇進を祝うパーティーでは、多くの祝福を受けたという。「地元の皆さんの応援のおかげで勝てたのはありがたいです。でもまだここから。まだ(白星)1個目だし、2日目」。自らに言い聞かせるように、決意を語った。

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