高安、1敗守った!…荒磯親方「運じゃなく実力」本人は連日稽古「荒磯親方のおかげ」
◆大相撲春場所7日目 ○高安(送り出し)北勝富士●(16日・エディオンアリーナ大阪)
初優勝を目指す大関・高安(29)=田子ノ浦=が、新小結・北勝富士(26)=八角=を送り出して1敗を守った。一度は土俵際まで追い込まれたが、粘りの相撲で6勝目。本場所のテレビ初解説を務めた荒磯親方(元横綱・稀勢の里)は、場所前から稽古相手になってきた弟弟子の奮闘を「運じゃなく実力」と褒めたたえた。横綱・白鵬と幕内・逸ノ城は初日から7連勝とした。
高安が耐えて、粘って大きな白星を積み上げた。北勝富士の右おっつけで押し込まれても冷静だった。俵にかけた右足だけで踏ん張ると、右のすくい投げで体勢を崩して逆転の送り出し。支度部屋では「辛抱するしかなかったです。辛抱して、辛抱して…」と念じるように、6勝目をかみしめた。
3大関で唯一、賜杯を抱いていない。昨年は3度の優勝次点。平成最後の本場所へ準備は入念だった。2月下旬に部屋宿舎を構える兵庫・園田競馬場に入ると、1月に現役引退したばかりの荒磯親方と連日の三番稽古を直訴。番数は計100番を超えた。同親方は「俺の調整じゃないから全力でいく」と、稽古場で100%の力を出し切ってくれた。
現役大関が負け越すことも珍しくなく、周囲は元横綱のけがを心配するほど。部屋の関取は高安のみで、当初は早期の出稽古も計画していたが、それを撤回したことが充実の証しで、「荒磯親方のおかげで攻めの稽古ができた。結果で恩返ししたい」と繰り返した。
この日は、高安の好調ぶりを肌で実感してきた荒磯親方がNHKで初めてテレビ解説。弟弟子の白星を見届けると、「圧力ある相手に我慢できたのは自信を持っていい。運じゃない、実力」。高安の“恩返し発言”を伝え聞くと、「何をしてくれるか楽しみ。千秋楽も次の日も忙しくしてくれるかな。万歳は俺がやろうか」と、初Vへの期待を膨らませた。
無敗の白鵬と逸ノ城を1差で追う。「次も我慢して、辛抱強く」と高安。30歳で初V&横綱昇進を果たした兄弟子の歩んだ道に続いていく。(小沼 春彦)