貴景勝、鶴竜を初撃破!白鵬も倒す…大関へあと2

スポーツ報知
鶴竜を撃破して8勝目を挙げ、大きく息を吐く貴景勝(カメラ・豊田 秀一)

◆大相撲春場所10日目 ○貴景勝(引き落とし)鶴竜●(19日・エディオンアリーナ大阪)

 関脇・貴景勝(22)=千賀ノ浦=が大関昇進に大きく近づいた。上位戦が始まり、これまで3戦全敗と苦手にしていた横綱・鶴竜(33)=井筒=を結びで引き落として勝ち越しを決めた。昇進に向け審判部が取組内容にも注視する中、初Vの昨年九州場所から対横綱3連勝と強烈なアピールにも成功。11日目は唯一無敗を守る横綱・白鵬(34)=宮城野=に挑む。1敗は平幕の逸ノ城、碧山の2人。

 割れんばかりの大歓声を背に、貴景勝が大きく一つ息を吐いた。鶴竜に低く頭で当たり、立ち合いは五分。細かく突いて前に出ると、圧力に耐えかね回り込もうとした横綱を引き落とした。「自分にできることは少ない。集中して夢中でやった。体が勝手に動いて、脳みそがいい判断してくれた」。5連勝で勝ち越し。だがこの日も表情を崩さなかった。

 過去3戦全敗だった横綱に土をつけた。これで初優勝を果たした九州場所からは横綱戦3連勝で、現在の2横綱3大関との対戦成績も5勝3敗に。大関候補として、納得の成績を残している。八角理事長(元横綱・北勝海)も「辛抱勝ちした。(鶴竜に)引かせて、バランスを崩させたからね。自信があるということかな。勝ち越し? 立派ですよ」と評価した。

 常に上を目指してきたからこそ、進化を続けられる。十両時代には、幼い頃に憧れた元関脇・琴錦(現朝日山親方)から立ち合いのタイミングや呼吸法を教わった。「自分が若貴のお父さん(元大関・貴ノ花)から教わったこと。貴景勝は真剣に聞いてた。聞く耳を持つことは大事。それが秀でていた。でもまさかここまで確立するとは」と朝日山親方。「完全オリジナル」と自身で話す今の相撲スタイルは尽きぬ向上心で、手に入れた。

 11日目の相手は横綱・白鵬。過去1勝3敗だが初場所では勝った。阿武松審判部長(元関脇・益荒雄)は場所前、昇進には10勝以上を求めるとともに「相撲の内容も見させていただく」としている。2横綱を破っての9勝で「三役で直近3場所33勝」到達となれば周囲を納得させるに値する内容といえ、2ケタ白星を待たずとも昇進に限りなく近づく。「その日その日、集中していくことがつながる。しっかり準備することしかできない。そこだけやりたい」。新大関へ今場所最大の挑戦が待つ。(大谷 翔太)

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