【尾車親方の目】昨年と雲泥、貴景勝の「圧力と馬力」

スポーツ報知
鶴竜(左)を引き落としで破る貴景勝

◆大相撲春場所10日目 ○貴景勝(引き落とし)鶴竜●(19日・エディオンアリーナ大阪)

 貴景勝の成長を証明する一番だった。立ち合いは五分。その後の攻めは貴景勝が圧倒した。圧力をかけて力強い突き押しと回転のある突っ張りで追い詰め、鶴竜が土俵際で右に回り込んだ時に右を突き刺した。

 テレビ中継では昨年の秋場所の対戦ビデオ(押し倒しで鶴竜の勝ち)を放映していたが、その時と比べると貴景勝は圧倒的に強くなっている。圧力と馬力が雲泥の差。そして次の九州場所で初優勝、押し相撲で勝つコツをつかんだ。立ち合いから圧力をかけ、突き押して、相手が浮足立ったら左からのいなし。一連の流れが実にスムーズだ。コツの体得は稽古でしかつくれない。地道な汗が花を開いたのだろう。

 11日目は白鵬の胸を借りる。今場所の白鵬は当たりが重くて身が軽い。2日連続して横綱が負けることは許されないだろう。大横綱のプライドが貴景勝の壁になる。(スポーツ報知評論家)

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