白鵬「邪魔してやろうかな」宣言通り貴景勝ぶん投げた

スポーツ報知
貴景勝を上手投げで下し、全勝を守った白鵬(左)(カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲春場所11日目 ○白鵬(上手投げ)貴景勝●(20日・エディオンアリーナ大阪)

 平成最後の本場所で通算42度目の優勝を目指す横綱・白鵬(34)=宮城野=が、大関取りに挑む関脇・貴景勝(22)=千賀ノ浦=の前に立ちはだかった。幕内1200回出場の節目を豪快な上手投げで飾って初日から11連勝。先場所敗れた大関候補にきっちりと借りを返した。1敗は平幕の逸ノ城だけとなった。

 そう簡単に世代交代も、大関昇進も許さない。34歳の白鵬が、結びで22歳・貴景勝に勝負の厳しさを見せつけた。今場所初めて右のかち上げを“解禁”。立ち合いの出足を止めると、冷静に間合いを保ちつつ左右から張った。最後は狙い通りに相手を呼び込んで左上手を引き、一気にぶん投げた。

 どよめく館内。春場所最多37本の懸賞をつかむと、「気を引き締めてやりました。若い頃はあんな相撲を稽古でやっていましたから。激しいとは思っていない」と13秒9の熱戦にも涼しい顔。史上最多41度Vの第一人者としての自負もあった。

 先場所は初日から10連勝しながらも、3連敗後に右膝痛などで途中休場。1月に苦杯をなめさせられた御嶽海、玉鷲に続き、これで3日連続の雪辱劇だ。特に意識してきたのが成長著しい貴景勝。番付発表直後の2月26日には「邪魔してやろうかな」と大関昇進へ“壁”になると宣言した。かつて横綱・千代の富士が、10代で台頭した貴花田(のちの横綱・貴乃花)に対して口にした「まだ、もう少し邪魔をしてやろうかな」という言葉を意識。千代の富士は貴花田に敗れて引退を決意したとされるが、白鵬はそうさせなかった。

 有言実行へ春場所に向けた準備は入念だった。今月5日の二所ノ関一門の連合稽古に、白鵬は貴景勝を指名するため一門外から参加。組んでは投げての17勝1敗と圧倒した。この日の朝稽古後には、横綱自身が若手当時を回想。「稽古から看板力士になってやろうという意識があったね」。ハタチだった同じ関脇時代、巡業でも1日40番の相撲も珍しくなかったという。「今は、いないでしょう」と、猛稽古を土台にのし上がってきた34歳は無傷の11連勝という結果で示した。

 若手力士の突き上げは歓迎だが、まだ負けるつもりはない。支度部屋では「昨日は昨日、今日は今日」と表情ひとつ変えなかった。平成を締めくくる42度目の賜杯へ、死角は見当たらない。(小沼 春彦)

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