【尾車親方の目】貴景勝、今までの立ち合いでは大関は無理

スポーツ報知
豪栄道(左)のはたきこみで4敗目を喫した貴景勝(カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲春場所12日目 ○豪栄道(はたき込み)貴景勝●(21日・エディオンアリーナ大阪)

 すさまじい豪栄道の立ち合いだった。貴景勝よりも低く、早く、当たりも強かった。得意のまわしにも手をかけようとせずに右から突いた。貴景勝が20センチほど下がったところをはたき込み。押し込んでからの引き技、貴景勝に残す力は残っていなかった。

 11日目の白鵬もそうだった。豪栄道にも張り差しという武器があるが、小手先の立ち合いでは馬力のある貴景勝を止めることはできないと判断。さらに立ち合いさえ止めれば勝てるとの計算もあった。

 急成長が横綱と大関の闘志に火を付けたといえるが、貴景勝はこれまでの立ち合いでは簡単に大関になれないということも痛感したはずだ。さらにこの2日、得意の回転の速い突き押しが出ていないのは、明らかに肩に力が入っているから。いくら緊張していないと言っても、まだ22歳の若者だ。大関を意識して硬くなっているのは確か。この2日間で学んだことを、残り3日間で実践してほしい。

(スポーツ報知評論家)

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