貴景勝、お菓子くれた栃ノ心と“大関入れ替え戦”…ノルマの2ケタお預けで千秋楽に大一番

スポーツ報知
逸ノ城に叩き込みで敗れる貴景勝(右)(カメラ・石田 順平)

◆大相撲春場所14日目(23日・エディオンアリーナ大阪)

 大関取りの関脇・貴景勝(22)=千賀ノ浦=は、逆転初Vを狙う幕内・逸ノ城(25)=湊=にはたき込まれて5敗目を喫し、昇進目安の2ケタ白星目前で足踏み。千秋楽は、7勝7敗で負ければ関脇に降下するカド番大関・栃ノ心(31)=春日野=が相手で、壮絶な“入れ替え戦”に臨むことになった。横綱・白鵬(34)=宮城野=は14連勝で、通算42度目の賜杯に王手をかけた。

 大関取りに“王手”をかけた一番で、貴景勝が土俵にたたきつけられた。今場所初めてもろ手で立ち合ったが足が出ず。逸ノ城の強烈なはたきを食らい、土俵にはった。支度部屋で立ち合いのタイミングについて問われると「悪くなかったと思う。明日一日、やりきるだけです」。多くは語らず、淡々と振り返った。

 現時点で「三役で直近3場所33勝」の昇進目安には届いているが、阿武松審判部長が提示するノルマは10勝以上。1横綱1大関を破って9勝をマークしているものの、上位と当たる終盤戦では1勝3敗と苦戦している。千秋楽は栃ノ心戦。勝てば2ケタ白星に到達するが、負ければ再び昇進持ち越しとなりかねない。

 縁が巡ってきた。小学校高学年の頃。兵庫から、東京の春日野部屋に合宿に行った。9歳上の栃ノ心には「かわいいなぁ」と、丸刈りだった頭をなでられた。臆することなく相撲について質問攻めにした。最後は稽古で疲れた栃ノ心に「もう、寝とけよ!」と苦笑いされ、代わりにお菓子をもらった。相撲人生をかけた大一番は、恩返しの舞台でもある。

 栃ノ心はカド番ながら、ここまで7敗。貴景勝が勝てば現大関の陥落が決まり、新大関誕生が近づく異例の“入れ替え戦”だ。互いにプライドをかけた激戦が予想されるが「明日、集中していくだけです」と平常心を強調した。先場所は豪栄道に敗れ昇進を逃した千秋楽。今度こそ白星で飾り、夢をつかむ。(大谷 翔太)

スポーツ

×