逸ノ城、初優勝へ望みの貴景勝撃破「小さい相手が苦手」な弱点克服

スポーツ報知
貴景勝をはたき込みで破った逸ノ城(右)(カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲春場所14日目(23日・エディオンアリーナ大阪)

 逆転初Vを狙う幕内・逸ノ城(25)=湊=は、大関取りの関脇・貴景勝(22)=千賀ノ浦=を破り1敗を守った。

 イメージ通りだった。立ち合い。逸ノ城は両手を先につくと、貴景勝のもろ手の攻めを受け止めた。足が出ておらず腕だけの押しを「つかまえにいって体を起こさせた」。体を開くと、上から押しつぶすような豪快なはたき込み。1敗を守り、初優勝へ望みをつないだ。

 場所前から意識する相手だった。「小さい相手が苦手。高校生の頃は小さくて細い力士ばかりだったけど、今は違う」。弱点克服へ初めて出稽古をリクエスト。9戦2勝と苦戦していた175センチの貴景勝のいる千賀ノ浦部屋へ出向いた。この日の朝も“仮想・貴景勝”として、湊部屋唯一の押し相撲を取る179センチの西三段目七十四枚目・榛湊(22)と稽古。準備が実った。

 新入幕だった14年秋場所以来の優勝争いに「(当時と今は)全然違う」。幕内で相撲を取れる喜びに浸っていた5年前と比べ、研究されて重圧も増えた。だが193センチ、226キロの恵まれた体格を生かす豪快な相撲が経験と鍛錬で作られた。

 初の賜杯へは大栄翔に勝ち、全勝の白鵬が鶴竜との横綱対決に敗れ、優勝決定戦に持ち込まなくてはならない。「集中して取りたい」と繰り返し口にした“モンゴルの怪物”が、覚醒の時を迎えている。(太田 涼)

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