白鵬、平成最後の本場所で全勝V42「みんなの支えがあっての優勝」原点の大阪で“恩返し”

スポーツ報知
通算42度目の優勝で子供たちから祝福のキスを受け笑顔の白鵬(右)(左から長男・真羽人くん、紗代子夫人、長女・愛美羽ちゃん、次女・美羽紗ちゃん=カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲春場所千秋楽 ○白鵬(下手投げ)鶴竜●(24日・エディオンアリーナ大阪)

 平成最後の本場所を横綱・白鵬(34)=宮城野=が、自身の持つ最多記録を更新する通算42度目の優勝で飾った。結びで横綱・鶴竜(33)=井筒=を下手投げで破り、無敗で15日間を乗り切った。初賜杯を抱いた2006年から14年連続優勝で、34歳での全勝Vも平成元年(89年)秋場所の横綱・千代の富士(34歳3か月)以来。最高位の威厳と誇りを示し「平成時代」の土俵を締めくくった。カド番の栃ノ心(31)=春日野=は関脇・貴景勝に敗れて負け越し、大関陥落が決まった。

 平成に愛された横綱・白鵬が、通算42度目の優勝で時代に“恩返し”した。15個目の白星を並べた結びの鶴竜戦。勝負を決めた下手投げをした際、右上腕部を負傷した。優勝インタビューでも「みんなの支えがあって、この優勝がある。平成に育ててもらいました。本当に感謝しています」と顔をしかめつつ、自ら提案した観客との三本締めを行った。平成最初の優勝力士・八角理事長(元横綱・北勝海)から渡された賜杯は、一人で抱けず朝日山親方(元関脇・琴錦)の助けを借りた。

 是が非でも平成最後の賜杯に名前を刻みたかった。この日の朝稽古後、「平成になって大阪に来て、平成が大阪(春場所)で終わる。話せば長くなるね」とつぶやいた。00年10月、15歳でモンゴルから来日。入門前の2か月間、身を寄せていたのが大阪の摂津倉庫だった。175センチ、68キロと細身だった初土俵も01年春場所。ここは忘れがたい原点だ。

 満身創痍だった。今月11日に34歳になった。世代交代の足音が聞こえてくる中、昨年10月に右膝を手術。断食、滝行と内面からも見つめ直した。1月の初場所は患部が悲鳴を上げて途中休場。今場所、大阪市内の部屋宿舎に高さ60センチのリハビリ用の踏み台を持ち込んだ。連勝を重ねながらも「いつ、どこで痛めるかわからない」と入念に右膝の可動域を確認した。

 34歳での全勝Vは30年ぶり。第一人者として角界の期待を背負った。今場所、22歳・貴景勝の挑戦を退けた。千代の富士が成し遂げた横綱最年長V(35歳5か月)も視野に入る。平成は終わっても「白鵬時代」はまだ続く。(小沼 春彦)

 ◆横綱に聞く

 ―平成最後の15日間だった。

 「本当に場所前の稽古が良かった。大阪での汗を大事にしようと臨みました」

 ―汗びっしょりの鶴竜戦だった。

 「ちょっと力が入りました。本当に良かった。ありがとうございました」

 ―右腕を負傷したが。

 「ちょっと痛いですけど」

 ―初場所休場明けで全勝優勝した。

 「去年10月に右膝を手術した。東京の病院のみなさん、部屋の親方、家族、みんなの支えがあってこの優勝があると思います」

 ―夏場所は新元号になる。

 「次はどうなるかわからない。私は平成に育ててもらいました。9年前、(不祥事で賜杯を辞退した)名古屋場所で天皇陛下から手紙を頂いたことが、平成の思い出にあります」

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