羽生、減点されても「原点」4回転トウループ―3回転半ジャンプに成功

スポーツ報知
朝の公式練習でノーミスの演技を披露した羽生(撮影・高木恵)

 ◆フィギュアスケート オータム・クラシック 第1日(20日、カナダ・オークビル)

 【オークビル(カナダ)20日=高木恵】平昌五輪以来の実戦となる羽生結弦(23)=ANA=が公式練習に臨み、国際スケート連盟(ISU)公認大会で成功者がいない4回転トウループ―3回転半(トリプルアクセル)を成功した。高難度ながら基礎点は減点になる連続技。「スコアのしがらみから解放された」と話す王者は、今後の大会での投入を示唆した。女子ショートプログラム(SP)は世界選手権銀メダルの樋口新葉(17)=東京・開智日本橋学園高=は57・54点で4位。平昌五輪銀メダルのエフゲニア・メドベージェワ(18)=ロシア=が70・98点で首位。

 4回転トウループを降りた羽生が、振り向きざまに高く舞った。得意のトリプルアクセルを、流れるように決めた。大勢のファンが駆けつけた公式練習での大技成功に、会場はどよめいた。ISU公認大会で成功者がいない連続技について「構成を変えなくてはならないので臨機応変に」としながら、実戦投入を「考えてはいます」と口にした。

 「ある意味、自分がジャンプを楽しんでいる原点的なところではある」という連続技は、度々アイスショーで披露してきた。ただ、トリプルアクセルを助走なしで跳ぶ羽生ならではの究極難度の割に、試合での見返りは少ない。連続ジャンプは着氷足の右足で踏み切る必要がある。左足で踏み切るアクセルはルール上「ジャンプシークエンス」と見なされ、基礎点は合計点の0・8倍になる。まさに、得点という概念を超越した領域に達しようとしている。

 「ちょっともったいないところもあるので、今まで入れてこられなかった。今は本当にスコアは関係なく思っているので。ある意味、そのしがらみからは解放されて、こういうことも考えられるようになった」

 五輪連覇という偉業を達成した王者は、今季は「自分のために滑る」と決めている。フリープログラムは憧れのロシアのエフゲニー・プルシェンコの伝説の演目「ニジンスキーに捧ぐ」をアレンジし「Origin(オリジン)」と名付けた。「自分ができることを、このプログラムに込めたい」。習得を目指している4回転半ジャンプに加え浮上した新たな大技。枠にとらわれずに自由に、羽生らしさを詰め込んだ演目を作り上げていく。

 ◆フィギュアスケート男女シングルの主なルール改正点

 ▼男子フリーの演技時間 4分30秒→4分

 ▼男子フリーのジャンプ数 8本→7本

 ▼出来栄え点(GOE) 7段階(+3~-3)→11段階(+5~-5)

 ▼フリーのジャンプ制限 3回転以上は繰り返し跳べるのは2種類まで→そのうち4回転は1種類のみ

 ▼演技後半のジャンプの基礎点 すべて1.1倍→SPは最後の1本、フリーは最後の3本のみ

 ▼コレオシークエンスの基礎点 2.0点→3.0点

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