小林潤志郎「取り返す」W杯初Vトロフィー地震で大破…雪印メグミルクスキー部必勝祈願

スポーツ報知
昨年11月、初優勝したW杯ビスワ大会から帰国し、トロフィーを手にする小林潤志郎

 スキージャンプの雪印メグミルクチームが18日、札幌市の北海道神宮で必勝安全祈願を行った。昨季、W杯個人総合で日本勢最高の11位に入った小林潤志郎(27)は、自己最高のトップ10入りを目指す。9月の北海道胆振東部地震で、昨年11月のW杯開幕戦ビスワ大会(ポーランド)で初優勝した時のトロフィーが大破。不運を乗り越え、11月17日に同地で開幕する今季のW杯初戦に照準を合わせ、失った物を再び手にする。

 本格的なシーズン開幕を前に、小林は表情を引き締めた。北海道神宮で必勝安全祈願を済ませ、「新たな気持ちでスタートしたい気持ち。去年に負けないような成績を残したい」と決意をにじませた。

 昨季はW杯ビスワ大会で初優勝。2月の平昌五輪はラージヒルの24位が最高だったが、W杯個人総合で日本勢トップの11位に入り、飛躍の1年となった。「去年だけで終わりたくない。しっかりトップテンに入っていきたい」。さらに上へ、より強い闘志を胸に調整を進めている。

 言葉にならない“悲劇”が、一つのモチベーションになっている。ロシア遠征中だった9月6日に胆振東部地震が発生。札幌市内の自宅に帰った時には、棚に飾ってあったW杯初優勝のトロフィーが落下して割れ、床に散乱していた。「(接着剤で)くっつけようと思ったけど無理で…。また同じものを持ち帰るしかないなと」。もっと悲惨な思いをしている人もいる―。悲しい気持ちを押し殺し、新シーズンに心を向けた。

 今夏は、7月のグランプリ個人第1戦(ビスワ)で6位に入ったが「イメージと体が合っていない」と小林。それでも原田雅彦監督(50)は「さらに上に行くための試行錯誤を繰り返していて、まだ答えが出ていないということ」と、チームのエース格に過度な心配はしていない。

 今季から日本勢のW杯出場枠が「6」に増え、27日開幕の全日本選手権(白馬)で優勝すれば代表権を得られる。「(出身の)岩手も北海道も震災に遭ったので、活躍して勇気を与えたい。『また取り返すぞ』という気持ち」。再び王座に返り咲き、トロフィーの重みをかみ締める。(宮崎 亮太)

 ◆小林 潤志郎(こばやし・じゅんしろう)1991年6月11日、岩手・八幡平市生まれ。27歳。4歳からスキーを始め、小学4年からジャンプを始める。17年11月にW杯ビスワ大会で初優勝。18年2月の平昌五輪では個人ラージヒルで24位、個人ノーマルヒルは31位。173センチ、60キロ。

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