小林陵侑“超レジェンド”に並ぶ3連勝 史上3人目完全V見えた

スポーツ報知

◆W杯スキー(4日・インスブルック)

 ジャンプ男子は、オーストリアのインスブルックで伝統のジャンプ週間第3戦を兼ねた個人第10戦(HS130メートル)を行い、個人総合首位の小林陵侑(22)=土屋ホーム=は136・5メートル、131メートルの合計267・0点で今季、通算とも7勝目。葛西紀明(46)=同=の6勝を超え、日本勢のシーズン最多勝とした。日本勢のジャンプ週間3連勝は72年札幌五輪70メートル級金メダルの笠谷幸生、98年長野五輪ラージヒル&団体金の船木和喜以来3人目の快挙だ。

 小林陵は自分に驚いた。「すごい高かった」。1回目、強めの向かい風を受けて最長不倒の136・5メートル。課題の飛型点も60点中58・5点を出す完璧な飛躍で勝負を決めた。2回目は宮平秀治ヘッドコーチの判断で、他の上位勢と比べてスタート位置を1段下げた。それでもヒルサイズ越えの131メートルまで飛んでいった。「2本ともビッグジャンプ。楽しかった」。今季10戦7勝。定位置となった表彰台の中央で晴れやかに笑った。

 男子W杯の4連勝は日本勢初。ジャンプ週間の総合得点では6日(日本時間7日未明)に行われる最終戦のビショフスホーフェン(オーストリア)大会を残して、2位のアイゼンビヒラー(ドイツ)と45・5点、飛距離で25メートル以上の大差がついた。五輪金メダルに匹敵するとされる総合優勝へ「(タイトルの)デカさ的にはそう。取れたらうれしい」と意欲を見せた。

 最終戦の会場は、所属の土屋ホームで選手兼任監督の葛西が「アプローチが長くて、すごく考えて飛べる。陵侑とは(夏合宿で)飛びに行って、いい感触も得ている。陵侑は勝つんじゃないか」とみている台。日本勢で97―98年の船木和喜以来21年ぶり2人目となる総合優勝は、ほぼ手中にある。ただ96年生まれの22歳は「(船木は)僕が小さいころに活躍していたらしいけれど、全然見ていない。思い出せない」と自然体だ。

 “レジェンド”葛西を超えるW杯シーズン7勝で、笠谷、船木という“超レジェンド”のジャンプ週間3連勝に並んだ。W杯より長い過去66度の歴史で、4戦全勝は02年ソルトレークシティー五輪団体金のハンナバルト(ドイツ)が01―02年に、14年ソチ&18年平昌五輪個人ラージヒル2連覇のストッフ(ポーランド)が昨季成し遂げただけだ。伝統の大会を席巻する新エースは「驚いているけど、違和感はない」と自信に満ちた表情で言い切った。

 ◆ジャンプ週間 1952―53年シーズンに創設。年末年始の8日間にドイツ、オーストリアで集中開催され、4試合で争われる。W杯も兼ねており、順位はW杯の総合ポイントにも加算。97―98年には船木和喜が3勝して日本人唯一の総合優勝を飾った。

 ◆ジャンプ週間で3連勝した日本人選手の最終戦

 ▽笠谷幸生 1971―72年に史上3人目の3連勝。第4戦は札幌五輪日本代表選考会のため欠場。翌月の札幌五輪ジャンプ70メートル級(現ノーマルヒル)で冬季五輪日本人初の金メダルを獲得した

 ▽船木和喜 97―98年に3連勝も第4戦は120メートル、110.5メートルで8位。合計944点で日本人初の総合優勝を達成し、翌月の長野五輪ラージヒルで金メダルを獲得した

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