小林陵侑、歴代最長タイ6連勝「レジェンドに並べてうれしい」

スポーツ報知

◆W杯スキー(12日、イタリア・バルディフィエメ)

 ジャンプ男子はイタリアのバルディフィエメで個人第12戦(HS135メートル)を行い、今季ジャンプ週間総合王者の小林陵侑(22)=土屋ホーム=が135メートル、136メートルの合計315・0点で今季、通算ともに9勝目を挙げた。W杯6連勝はG・シュリーレンツァウアー(オーストリア)らに並び歴代最長記録。通算9勝も、98年長野五輪団体金メダルの原田雅彦氏に並び日本勢歴代3位となった。

 もう誰にも止められない。小林陵は1回目にヒルサイズと同じ135メートルで首位。2回目は、追い上げるライバルを尻目にジャンプ台記録に並ぶ136メートルで優勝をさらった。「リラックスして集中できた」。ソチ、平昌五輪2連覇で今大会3位のストッフ(ポーランド)も「何年かに一度、手に負えない選手というのは必ず現れる。みんなで陵侑をコンテナに入れて鍵をかけておかないと」とお手上げだ。

 節目のW杯50試合目。近年では珍しく雪を固めて作られた助走路は波打って滑りにくいが「小学生の頃を思い出す」と動じなかった。2回目の着地後にガッツポーズした際、勢いあまって転んだのはご愛嬌(あいきょう)だ。W杯6連勝は、男子通算最多53勝のシュリーレンツァウアーら4人に並ぶ史上最多で「レジェンドたちに並べてうれしい」。通算9勝も日本歴代3位タイ。原田氏が2年3か月かけて到達した数字に、わずか2か月足らずで肩を並べた。長野五輪金メダリストも「もちろん、うらやましいと思っていますよ」と笑うしかない。

 体とスキー板を離し、空中をスルスルと進める秘訣(ひけつ)は前傾姿勢にある。背中を丸めて前傾をとる選手が多い中で、小林陵は鍛えた背筋力を支えに、上半身をピンと立てた飛型を保てる。原田氏は「腰を中心にバランスが良いから、板が下がっても前へ前へと進めるし、落ち際にフワッと浮く」。さらに飛び出し後に脚を開いても板の滑走面が横を向かず、下を向いたままなのも空中での浮力や推進力を増す要素。「多少タイミングが外れてもカバーできる」と分析した。

社内表彰決定 ジャンプ界の歴史を次々と塗り替える22歳。所属の土屋ホームが、今月下旬のW杯札幌大会(26~27日、大倉山)で一時帰国するのに合わせて社長表彰を贈ることも判明。現在、表彰の内容を検討している最中という。P・プレブツ(スロベニア)のシーズン最多15勝も視界に捉えた小林陵は「勝つのが当たり前みたいに周りもなっているし、自分も慣れがあるので気をつけたい」と慢心は全くない。

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