【岡部孝信の目】小林陵侑、ジャンプ台変わっても同じ重心 安定アプローチ

スポーツ報知

◆W杯スキー(12日、イタリア・バルディフィエメ)

 ジャンプ男子はイタリアのバルディフィエメで個人第12戦(HS135メートル)を行い、今季ジャンプ週間総合王者の小林陵侑(22)=土屋ホーム=が135メートル、136メートルの合計315・0点で今季、通算ともに9勝目を挙げた。W杯6連勝はG・シュリーレンツァウアー(オーストリア)らに並び歴代最長記録。通算9勝も、98年長野五輪団体金メダルの原田雅彦氏に並び日本勢歴代3位となった。

 W杯での連勝が難しい理由の一つに、スタート時に座るバーの高さがジャンプ台ごとに異なることがある。高低の違いで、助走路に出た時の重心が変わる。重心がズレれば徐々に助走姿勢も崩れてしまうから、さまざまな台を転戦する中で勝ち続けられる選手は少なかった。今の陵侑は、どんな高さのバーでも同じ重心に持っていき、安定したアプローチを組めているのが強さの源だとみている。

 個人総合は陵侑が独走し、海外勢は2月の世界選手権に狙いを定めている部分もあるだろう。陵侑も世界選手権前に精神的、肉体的に少し休める時間があった方がいい。地元の札幌でのW杯が、ちょうど良い気分転換になるのではないか。

 沙羅は助走姿勢で膝を曲げる角度が浅く、重心を落とし切れていない印象だった。頭も高く、上半身を起こさないと空中へ立てない。そうすると空中で風の抵抗を受けてスキーが立ち、前半で失速してしまう。状態を戻すには、自分の感覚よりも大げさに修正してみるのも必要。彼女が思っているほどジャンプは崩れていないし、開き直ってやってほしい。(98年長野五輪団体金メダリスト、雪印メグミルク・スキー部コーチ)

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