小林陵侑、歴代4位の今季11勝目 男子初個人総合Vへ王手

スポーツ報知
小林陵侑

◆W杯スキー(17日)

 ジャンプ男子はドイツのビリンゲンで個人第22戦(ヒルサイズ=HS145メートル)が行われ、今季個人総合首位の小林陵侑(22)=土屋ホーム=が146メートル、144メートルの合計274・4点で今季、通算ともに11勝目を挙げた。男子のシーズン11勝は史上6人目で、日本勢では初。表彰台も今季16度目で、98―99年季の船木和喜(43)=フィット=の15度を上回る日本勢最多記録となった。早ければ次戦のオスロ大会(3月10日)にも、日本男子初の個人総合優勝が決まる。

 別格の強さだった。小林陵は1回目に最長不倒146メートルで首位に立ち、2回目も条件に恵まれない無風の中でも144メートルまで伸ばした。着地する瞬間には、勝利を確信していた。2万人超の観客が詰めかけた中で、2位に飛距離換算で12メートルもの大差をつける圧勝劇。注目の大きさを力に変えられるエースは「気持ち良くなった。集中していいジャンプができたことが一番良かった」と、喜びに浸った。

 男子W杯歴代4位タイのシーズン11勝。日本勢でシーズン単独最多となる16度目の表彰台も同時達成した。各地を転戦し、台の形状も変わる中で、陵侑のジャンプは乱れない。宮平秀治ヘッドコーチ(45)は「どの台でも全体的なバランスがいい。脚の力だけでなく、上半身も一体となるいいポジションで飛べている」と技術を分析する。この日も試技では不利な追い風もあって119メートルにとどまったが、スタート位置が5段階、2・73メートル上がった本戦では修正。22歳は「(試技は)飛べなさすぎて死んだかと思った」と冗談めかす余裕もあった。

 悲願の時も刻々と近づく。「一番欲しいのは総合優勝」とこだわりを見せるW杯個人総合争いは、ランキング2位のストッフとの一騎打ちの構図。この日7位だったストッフとは、残り6戦で475点差がつき、絶対的な優位に立つ。1試合で詰める可能性がある最大ポイント差は100点。W杯次戦のオスロ大会で25点差以上を上積みし、5戦を残す段階で500点以上の差がつけば、日本男子初の総合制覇が決まる。女子は高梨沙羅(22)=クラレ=が12―13年、13―14年、15―16年、16―17年の計4度達成している。

 今月末には、世界選手権(20日開幕、オーストリア・ゼーフェルト)が控える。2年ごとに開催される一発勝負の大舞台。個人でノーマルヒル、ラージヒルの2冠を果たせば、日本勢初の快挙となる。「少しはプレッシャーを感じることがあるかもしれないけど、自分のベストのジャンプをしていければいい」。世界選手権も個人総合も、頂点は全て陵侑がさらっていく。

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