羽生結弦、イチロー魂で世界一奪回「強くなりたいっていう熱い炎をもらった」

スポーツ報知
エキシビションに登場し、ファンに手を振る羽生結弦(カメラ・矢口 亨)

 フィギュアスケートの世界選手権男子で2位となった羽生結弦(24)=ANA=がフリーから一夜明けた24日、さいたまスーパーアリーナで取材に応じた。21日に現役引退を表明した米大リーグ・マリナーズのイチロー外野手について「強くなりたい、かっこよくなりたいっていう熱い炎をもらった」と言及。「1」にこだわる男がイチ魂で世界一を奪回する。この日はエキシビションが行われ、日本代表6選手が出演した。

 一流が一流を語った。羽生は、イチローへ思いを寄せた。「世界のレジェンド。ああいう域に達したい。生きざまを見て、引き際を見て、強くなりたい、かっこよくなりたいっていう熱い炎をもらった」。長く世界の第一線を走り続けたイチ魂を継承する。

 パワー全盛のメジャーリーグで、線の細い体で安打を量産した。羽生はどちらかというと「筋肉がつきにくい」体質。血液型も同じB型。重ねる部分も多い。「いろんな言葉に影響を受けてきた。練習やトレーニング方法を変えたりしてきた。言葉はいろいろな媒体に残るので研究して自分に生かせたらいいなと思う」。イチ流で世界一を奪い返す。

 来季へ全6種類の4回転ジャンプの習得を目指していく。アクセルに次ぐ高難度のルッツは17年10月のロシア杯で成功させたが、翌月のNHK杯の練習で右足首を痛めて以降は封印している。「1週間2週間ほど練習したら何回かに1回、何十回に1回かは跳べる確率には戻ると思う」。右足首の状態と相談しながら、まずはルッツを取り戻し、フリップ、アクセルの順で取り組んでいく意向だ。

 世界最高得点で連覇したネーサン・チェン(19)=米国=のフリーを見て「かっこいい」と漏らした。誰かの演技をそう思ったのは、幼い頃に憧れた五輪金メダリストのエフゲニー・プルシェンコ、アレクセイ・ヤグディン以来だという。「彼が完璧な演技をしても、僕がクリーンに滑れば絶対に勝てるというような演技ができるようにしたい」と闘志を燃やした。

 平昌での五輪連覇後、モチベーションの維持が難しく、世界初の4回転半ジャンプ成功に見いだそうとしたこともあったが、今は違う。「原点に戻れた。強い相手を見たときに沸き立つような、ぞわっとする感覚をもっと味わいつつ、その上で勝ちたいと思えた」。夢の大技は、勝つための手段に変わった。(高木 恵)

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