NHK交響楽団、名誉音楽監督のシャルル・デュトワ氏にセクハラ告発 2人は実名で

2017年12月23日7時0分  スポーツ報知

 クラシック音楽の世界的に著名な指揮者、シャルル・デュトワ氏(81)が過去にセクハラ行為を繰り返していたと、複数の女性被害者の証言を基に報じた。親日家で知られ、NHK交響楽団の名誉音楽監督も務めている。同氏は17日に福島・いわき市で定期演奏会でコンサートを指揮しており、既に帰国。N響は「大変驚き、かつ極めて深刻に受け止めている」とコメントを発表した。

 「地獄にいるような感覚だった」―。開演前にステージ上で、胸をわしづかみにされ、キスをされたと証言したソプラノ歌手はこう振り返った。

 複数の女性の証言によると、世界的指揮者として知られるデュトワ氏は1985年から2010年にかけて、車内、ホテルのスイートルーム、控室、エレベーターや舞台裏などでセクハラ行為を繰り返した。被害にあった女性はソプラノ歌手3人、演奏家1人の計4人。2人が実名で、残る2人は匿名で告発した。AP通信はほかに女性の友人ら第三者の証言も報じている。

 著名なソプラノ歌手のシルビア・マクネアーさんは85年、リハーサル後に被害に。「エレベーターの中で膝を両足の中に入れてきて、覆いかぶさってきた」などと話した。主なセクハラ行為は女性の体を押さえつけたり、自身の体を近づけたりしたというもの。両手首や胸をつかんだり、舌を口の中に入れてきたこともあったという。被害者は年齢が若かったことや、同じ業界で働いていることから、デュトワ氏から圧力などがかかることを懸念。法的な訴えを起こさなかったとしている。

 米映画界のセクハラ疑惑を機に、欧米では政治やスポーツなどの各界で有力者のセクハラ行為への告発が続出している。米タイム誌は年末恒例の「今年の人」に、セクハラ問題を告発した「沈黙を破った人たち」を選出している。同じクラシック界では今月、米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)が名誉音楽監督、ジェームズ・レバイン氏(74)の停職処分を決めた。今回、証言した女性はレバイン氏の処分が告発のきっかけになったとしている。ツイッターでは、セクハラ被害を訴える投稿も相次いでいる。

 「マエストロ(巨匠)」のセクハラ疑惑に、クラシック界には大きな衝撃が走った。ボストン交響楽団は客演指揮者の契約を打ち切った。ニューヨーク・フィルハーモニック、シカゴ交響楽団も出演辞退を決めた。デュトワ氏は03年からNHK交響楽団の名誉音楽監督を務めている。N響は現在、事実関係を確認中。今年は12月に都内などで計8回、公演したばかりだった。来年12月にも6公演が予定されているが、N響は「今回の事態を踏まえ、適切に対応する」としている。

 ◆シャルル・デュトワ 1936年10月7日、スイス・ローザンヌ生まれ。81歳。64年にベルン交響楽団で指揮者デビュー。67年にローザンヌ交響楽団の首席指揮者に就任して以降、クラシック界の巨匠として注目された。別名「音の魔術師」。96年にNHK交響楽団の常任指揮者に就任するなど日本通でも知られる。現在は英国のロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団芸術監督兼首席指揮者。4度の結婚経験があり、2人目と4人目は演奏家女性。

社会
今日のスポーツ報知(東京版)