藤井聡太、史上初中学生五段「昇級果たせたのはうれしいです」17日朝日杯Vで六段だ

スポーツ報知
深夜に及ぶ勝負を制して五段昇段を決めた藤井聡太五段

 将棋の史上最年少棋士・中学3年生の藤井聡太四段(15)が1日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた順位戦C級2組9回戦で梶浦宏孝四段(22)に114手で勝ち、9戦全勝としてC級1組への昇級を決めた。同時に、昇段規定を満たして同日付で史上初の「中学生五段」となった。17日に羽生善治竜王(47)と準決勝で直接対決する朝日杯将棋オープン戦で優勝すれば、一気に六段まで昇段する。

 誰もが呼び慣れ、聞き慣れた「ふじいよだん」を、少年は卒業した。「ふじいごだん」になった藤井は、「順位戦は昇級を目指して戦ってきたので、果たせたのはうれしいです」とシンプルな感想を口にした。

 昇段を決めた一局にふさわしい大人の将棋だった。若手有望株である梶浦に対し、慎重かつ重厚な指し回しを貫徹。中盤で奪ったリードを確実に広げて「負けない将棋」で勝利を手にした。

 名人を目指す棋戦である順位戦。5階級の最下級であるC級2組には今期50人が在籍。年度を通して各棋士が10局を指し、C級1組に昇級するのは3人のみという狭き門だが、藤井は9戦全勝と圧倒的な力を見せ、最終戦を待たずに昇級を決めた。四段が五段に昇段するには、〈1〉竜王戦ランキング戦で連続2回の昇級または通算3回の優勝 〈2〉順位戦C級1組昇級 〈3〉タイトル挑戦 〈4〉全棋士参加棋戦優勝 〈5〉公式戦100勝 の5つの規定がある。藤井四段は〈2〉を満たし、ルーキーイヤーから名人への道をひとつ前に進んだ。

 「順位戦の昇級で五段昇段を果たせたのはとても良かったと思います」

 藤井は15歳6か月。昨年引退した加藤一二三九段(78)が1955年に樹立した最年少五段昇段記録の15歳3か月には後れを取るものの、加藤九段は1月生まれのため、五段に昇段したのは高校1年になった当日の4月1日付。2007年に昇段確定の当日付で昇段する規定に変更されたこともあり、史上初の「中学生五段」が実現した。加藤九段も、谷川浩司九段(55)も、羽生竜王も、渡辺明棋王(33)も実現出来なかった快挙だ。

 さらに、17日に出場する第11回朝日杯将棋オープン戦でも昇級を期す。同準決勝で羽生竜王に勝ち、同日の決勝で久保利明王将(42)と広瀬章人八段(31)の勝者も破った場合は「五段昇段後の全棋士参加棋戦優勝」の規定を満たし、わずか16日間で五段に別れを告げ、一気に六段に昇段する。15歳7か月での棋戦優勝は加藤九段が55年に樹立した15歳10か月を超える最年少記録にもなる。

 「良い機会を得たので全力を出したいです」

 「神の子」の伝説はまだまだ終わらない。(北野 新太)

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