千葉競輪場、20年にバスケ・卓球・コンサートなど可能な多目的アリーナへ

スポーツ報知
20年度までに千葉競輪場は自転車レースも可能な多目的アリーナに生まれ変わる(イメージ図)

 2020年度までの完成を目指す千葉競輪場(千葉市中央区)の外観イメージや事業方針の概要が5日、スポーツ報知の取材で分かった。木製トラック(走路)は1周250メートルの国際規格で、屋根付きの多目的アリーナとなる。競輪や自転車ファン以外の利用も促すコンサート利用なども可能とする。これまでの「競輪場」とは異なるコンセプトで「民間活力を生かした画期的な取り組み」として関係者からの期待も高い。詳細は月内に正式発表される見通し。

 千葉市に自転車を中心とした新たなアリーナが誕生する。

 現在の千葉公園内にある千葉競輪場は今春から解体工事に入り、基本設計、実施設計などを経て着工する。新アリーナでは老朽化した500メートルバンクから、国際規格に沿った250メートルの木製バンクを整備する。建設費は70億円規模で民間事業者が負担する。建物は地上3階、地下1階で高さは約26メートル。

 現段階で250メートルバンクでの競輪事業はできないが、開催に向けて関係団体が調整を進めている。東京五輪・パラリンピックの自転車競技(トラック)は、静岡県の伊豆ベロドロームで行われるが、新アリーナ開業は20年東京五輪・パラリンピック後となる見通し。

 事業原案によると、新アリーナは、公営競技と五輪スポーツとしての「ケイリン」の融合を目指し、国内外の大規模大会を誘致する。ジュニア世代の育成のほかフットサル、バスケットボール、卓球などインドアスポーツの開催も可能。スポーツだけでなく観客4000人規模のコンサートや展示会もできる。飲食店も併設され、子供から高齢者まで幅広い世代にアプローチする。

 日本政策投資銀行は、欧米の稼げるスポーツ施設の要素として〈1〉多機能複合型〈2〉民間活力の導入〈3〉街なか立地〈4〉収益力の向上―などを挙げている。新アリーナ近くにはモノレールの千葉公園駅があり、JR千葉駅から600メートル、徒歩10分の都心部に位置する。市が周辺整備を行い、民間事業者がアリーナを建設するという役割分担を明確化したことで、競輪場が全世代向けの集客施設へと生まれ変わる。

 これまで体育館などのスポーツ施設は税金で建設し、行政が運営する「公設公営」方式が主流だった。新アリーナは「民設民営」方式となる。ゼビオアリーナ仙台(仙台市)や、20年春に開業するコンサートに特化したぴあアリーナ(横浜市みなとみらい)などが有名。新たな大型新施設に県経済界も経済効果を期待している。

 ◆千葉競輪場 1949年8月に開場。千葉市が所有。オールスターや日本選手権のほか、同競輪場で活躍した滝沢正光選手の名前を冠した「滝沢正光杯」(G3)を08年から開催していた。だが、15年1月に老朽化などに伴い、市が廃止の方針を表明。その後、民間事業者が建設費などを負担することで存続が決定した。

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