19歳巡査、どなられたから上司射殺…防犯カメラに後頭部など銃撃映像、日本初の惨劇

スポーツ報知

 滋賀県彦根市の河瀬駅前交番で11日に県警彦根署の井本光(あきら)巡査部長(41)が拳銃で撃たれ死亡した事件で、県警は12日未明、逃走していた同僚の巡査の男(19)を同県愛荘町で確保し、殺人容疑で逮捕した。巡査は容疑を認めており「どなられたからやった」と供述しているという。警察庁によると警察官が拳銃で同僚を殺害する事件は過去になく、未成年の警察官による殺人事件も初めてとみられる。

 県警によると、巡査が確保されたのは12日午前1時35分ごろ。同県愛荘町内にある近江鉄道の踏切を制服姿で歩いていた巡査に捜査員が声を掛けると、落ち着いた様子で質問に応じたという。その際、現金約50万円が入った財布を持っており、逃走資金を用意した疑いもある。交番からの距離は約4・5キロ。周囲は民家が少なく、田んぼが広がる静かな地域だった。その後、拳銃も捨てたとの供述に基づき午前7時ごろ、隣接する同県豊郷町で見つかった。

 逮捕容疑は11日午後7時47分ごろ、交番で井本巡査部長の後頭部などを背中から撃ち、殺害した疑い。防犯カメラには同時刻に執務中の巡査部長が突然前方に倒れ、その直後に巡査が交番の正面ドアから出て行く様子が映っていた。午後8時45分ごろ、巡査部長が血を流して倒れているのを発見。主な死因は頭部を撃たれたことによる脳幹部損傷で、ほぼ即死状態だった。

 巡査は「背後から撃って殺したことに間違いない。(巡査部長は)椅子に座ったまま前に倒れ、ぴくりともしなかったので死んだと思った」と容疑を認めている。捜査関係者によると「どなられたからやった」と供述しているという。巡査は昨年4月に採用され、巡査部長とともに3月26日に交番に配置。巡査部長は巡査の教育係だった。巡査は不満と同時に「厳しかったが、きちんと指導してくれた」とも話しているという。

 警察庁の栗生俊一長官は会見で「警察官が職務上貸与された拳銃を使って同僚警察官を殺害する事件は過去になく、極めて遺憾」と述べた。さらに「滋賀県警が捜査を尽くして、その結果を踏まえて本件に厳正に対処するとともに、規律高い組織の構築に努めたい」と今後の対応について語った。同庁によると、未成年の警察官による殺人事件も初めてとみられる。

 一方、県警の武田一志警務部長は会見で、時折言葉を詰まらせながら「分からない」「捜査中で答えられない」と力なく繰り返すばかり。容疑者の巡査、井本巡査部長ともに「特に問題は把握していなかった」と説明した。

社会