米朝首脳会談で歴史的握手 金正恩氏“完全非核化”約束も拉致問題は声明には盛り込まれず

2018年6月13日7時5分  スポーツ報知

 トランプ米大統領(71)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は12日、シンガポール南部セントーサ島のカペラホテルで会談した。米朝首脳会談は史上初。両首脳は会談後「シンガポール共同声明」に署名した。正恩氏は声明で、4月末の南北首脳会談の板門店宣言を再確認し「朝鮮半島の完全非核化」を約束。トランプ氏は「北朝鮮の安全を確約」し、事実上の体制保証をした。トランプ氏は記者会見で、日本人拉致問題を会談で提起したと明らかにしたが、声明には盛り込まれなかった。

 赤いネクタイにスーツのトランプ氏と人民服の正恩氏はゆっくりと歩み寄り、約10秒間、固い握手を交わした。カペラホテルでの歴史的瞬間。「大統領閣下、お目にかかれて光栄です」。30代半ばとされる正恩氏は、初めて会ったトランプ氏にあいさつし、トランプ氏は「素晴らしい関係を築きたい」と応じた。正恩氏は「世界の多くの人々はこれをSF映画や空想だと思うでしょう」とも語った。2人はやや緊張した面持ちだが、時折笑顔も。約40分間の一対一の会談後、拡大協議を実施し、昼食会も開いた。

 両首脳は米朝関係改善に強い意欲を示した。トランプ氏は「過去とは異なる米朝関係に向かう」と述べ、正恩氏と「特別な絆を築いた」と強調。朝鮮半島に残る冷戦構造の終焉(しゅうえん)につながる可能性があり、北東アジアの国際秩序は重大な転換点を迎えた。ただ非核化の具体的な行程や検証方法は合意しておらず、声明の実効性には疑問も残る。

 トランプ氏は北朝鮮の非核化プロセスが迅速に始まるとしたが、声明には米側が求める「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」は盛り込まれなかった。会見で、完全非核化には技術的に長い時間がかかると説明した。

 対北朝鮮制裁は当面維持するとしたが、北朝鮮の核兵器の脅威がなくなれば解除すると語った。トランプ氏によると、正恩氏はミサイルのエンジン実験場を近く破壊すると約束した。

 米韓合同軍事演習については「挑発的」として、中止で多額の費用を節約できると説明。在韓米軍を将来的に縮小したり撤収したりする可能性にも言及した。共同声明で、両首脳は朝鮮戦争の戦没米兵の遺骨収集で協力することを確認した。合意事項の履行に向け、できる限り早期に高官級協議を開く。

 正恩氏は署名式で共同声明を「新たな出発を知らせる歴史的な文書」と指摘。トランプ氏に謝意を示し「世界は恐らく重大な変化を見ることになるだろう」と予測した。トランプ氏も「才能豊かな男だ」と正恩氏を手放しで持ち上げた。「ロケットマン」(トランプ氏)「老いぼれ」(正恩氏)と挑発し合ったこともある関係から劇的な変化を印象づけた。

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