拉致問題「提起」止まり トランプ大統領頼み正念場

2018年6月13日7時0分  スポーツ報知

 トランプ米大統領(71)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は12日、シンガポール南部セントーサ島のカペラホテルで会談した。米朝首脳会談は史上初。両首脳は会談後「シンガポール共同声明」に署名した。

 トランプ米大統領は、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との会談で、日本人拉致問題を提起したと明らかにした。共同声明には明記されないが「(北朝鮮が今後)取り組む」と述べた。正恩氏の反応については言及しなかった。北朝鮮は拉致問題は解決済みとの立場を崩しておらず、トランプ氏の提起が進展につながるか注目される。

 横田めぐみさん(失踪当時13)の母・早紀江さん(82)は川崎市の自宅マンションで記者会見し、会談実現を「奇跡的」と歓迎した。「いよいよここまで来たなという思い。被害者が帰国できるよう会談をしてほしい」と今後の日朝首脳会談開催に期待を寄せ、「みんなが元気なうちに一刻も早く再会したい」「たくさんの方が帰ってくることを願っている」と繰り返した。

 市川修一さん(失踪当時23)の兄・健一さん(73)は、鹿児島県鹿屋市の自宅のテレビで、トランプ氏の会見を見守った。「拉致問題に触れてくれたことはありがたい」と感謝を口にしたが、「もう少し詳細な話が聞けると思った。残念」と表情を曇らせた。

 トランプ氏は会談後の記者会見で、安倍晋三首相にとって拉致問題は、非核化問題を除けば「最重要課題だ」と指摘した。トランプ氏は会談前に安倍氏から要請を受け、拉致問題提起を「100%保証する」と確約していた。

 安倍氏は、トランプ氏が日本人拉致問題を提起したことについて「高く評価し、感謝したい」と官邸で記者団に表明した。日本政府は会談内容を詳細に分析した上で、正恩氏との首脳会談を視野に、日朝対話を本格追求する。安倍氏は12日夜にトランプ氏と電話会談し、拉致問題を巡る正恩氏とのやりとりについて説明を受けた。警戒するのは、北朝鮮の非核化と体制保証に関する交渉を優先するトランプ氏が「拉致は解決済み」と主張する北朝鮮に何らかの譲歩を示す展開。トランプ氏頼みの日本外交は正念場を迎えている。

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