「反プーチン」パンクバンド4人がW杯決勝に乱入、熱戦に水差した

スポーツ報知
ピッチに乱入した男女(カメラ・竜田 卓)

 フランスの優勝で幕を閉じたサッカーW杯ロシア大会で15日(日本時間16日)、決勝戦の試合中に女3人と男1人がピッチ内に乱入し、警備員らに拘束される騒ぎがあった。騒動の直後、ロシアのプーチン大統領を批判するパンクバンド「プッシー・ライオット」が、フェイスブックなどで“犯行声明”を出した。そのプーチン大統領は土砂降りの閉会式で、一人だけ傘を差し出されていたとして批判が続出。約1か月にわたり盛り上がりを見せた大会の最後に、水を差す形となってしまった。

 優勝を争い、フランスとクロアチアが熱戦を繰り広げているピッチを、「招かれざる客」が駆け抜けた。

 4人が姿を見せたのは後半の7分ごろ。フランスの新星、エムバペ(19)がシュートをミスし、クロアチアが攻撃に出たところだった。クロアチア側の陣地から警察官の格好をして走る男女と、それを追いかける警備員の姿が。女の一人はエムバペとちゃっかりハイタッチをしたが、クロアチアのDFロブレン(29)は近付く男を激しく拒絶した。

 混乱が起きたのは1分ほどで、男女は警備員に引きずられて退場。当初は興奮した観客の仕業かと思われたが、騒動から間もなく「プッシー・ライオット」のメンバーがフェイスブックで「数分前、メンバーがW杯決勝戦で成し遂げた」と“犯行声明”を出し、「政治犯の釈放」や「集会での違法逮捕をやめること」など6項目を提言した。

 「プッシー―」は、過去にも政治的メッセージを発信している反体制グループ。2012年にはモスクワの教会でプーチン氏を批判するパフォーマンスを行い、メンバーの一部が逮捕された。また、昨年には警察を批判する楽曲を発表。今回、警察官のコスプレをしたのは、警察を皮肉る詩を残したロシアの詩人ドミトリー・プリゴフ(07年死去)の命日が16日だったためとした。

 試合後の表彰式では、プーチン氏の振る舞いに世界中からケチがついた。準優勝のクロアチアを表彰する頃に雨脚が強くなったが、警護員が差していたプーチン氏とFIFA・インファンティノ会長の頭上の傘は、次第にプーチン氏だけを雨から守る形に。フランスのマクロン大統領やクロアチアのグラバルキタロビッチ大統領はずぶぬれとなった。

 その後、フランスの表彰の段階になってようやく多数の傘が持ち込まれたが、「後の祭り」。インターネット上では「プーチンの傘男がMVPだ」などの批判コメントが並んだ。今大会の運営には称賛の声が多かったが、2つの失態がクライマックスに“水を差す”ことになってしまった。

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