芥川賞に高橋弘希さん「送り火」

スポーツ報知
第159回芥川賞、直木賞の選考会が行われる東京・築地の料亭「新喜楽」前には多くの報道陣が行列をつくった

 第159回芥川賞と直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が18日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれた。

 芥川賞には高橋弘希さん(38)の「送り火」が決まった。

 文芸誌「群像」に掲載され、候補になったものの東日本大震災に関する記述に参考文献が掲載されていなかった問題が浮上した「美しい顔」の北条裕子さん(32)は選に漏れた。

 高橋さんの受賞作について、9人の選考委員を代表して会見した島田雅彦さんは「一つ一つの言葉にコストをかけている。読みにくい作品ではあるが、読者が油断できない、決して予定調和に終わらない作品だった。独特のタイムスリップ感も漂っており、これはただ者ではない。フィクション本来の醍醐(だいご)味を示している快作ではないかということ」と激賞した。

 ◆芥川賞候補者

 古谷田奈月「風下の朱(あか)」(早稲田文学・初夏号)

 高橋弘希「送り火」(文學界5月号)

 北条裕子「美しい顔」(群像6月号)

 町屋良平「しき」(文藝・夏号)

 松尾スズキ「もう『はい』としか言えない」(文學界3月号)

 ◆高橋弘希(たかはし・ひろき) 1979年、青森・十和田市生まれ。38歳。2014年「指の骨」にて第46回新潮新人賞を受賞。作品に「指の骨」(14年新潮11月号=第152回芥川賞候補、単行本は15年新潮社刊=第28回三島由紀夫賞候補)、「朝顔の日」(15年新潮6月号=第153回芥川賞候補、単行本は15年新潮社刊)、「短冊流し」(16年新潮1月号=第155回芥川賞候補)、「スイミングスクール」(16年新潮8月号、単行本(「短冊流し」併録)は17年新潮社刊=第30回三島由紀夫賞候補)、「日曜日の人々(サンデー・ピープル)」(17年群像6月号、単行本は17年講談社刊=第31回三島由紀夫賞候補、第39回野間文芸新人賞受賞)。

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